Googleなどのグローバル企業による導入が増えているOKRという仕組みをご存じでしょうか。全社員でOKRを共有することによって、企業一丸となって目標達成に取り組めるようになります。
今回はマネジメントでよく用いられる指標「KPI」との違いや運用上のポイントについてご紹介します。
OKRとは?
OKR(Objective and Key Result)は目標管理手法の1つで、チームや個人の目標を明らかにし、それに対する進捗を測定するためのフレームワークです。
OKRは、最上位に「会社」、その下に「部署」、最下層に「個人」という階層構造で構成され、それぞれの要素がObjective(目標)、およびそれを実現するためのKey Result(主な成果)を設定します。
上位階層のKey Resultと下位階層のObjectiveをリンクさせて、全社員と組織の目標にずれがないように運用することが特徴です。
KPIとの違いは?
OKRに似た目標設定ツールとしてKPIが挙げられます。KPIとは「key performance Indicator(重要業績評価指標)」の略称で、達成したい目標に向かって適切に進んでいるかという進捗状況を把握・評価するための指標です。
目標達成のために中間指標を設け、実行計画の進捗を測るという点では、OKRとKPIは同じですが、活用目的と使用されるシーンは異なります。OKRは企業全体での目標達成のためのコミュニケーションを促すために活用されます。
経営トップを含むすべての社員がOKRを設定・運用するのに対し、KPIは目標達成のためのプロセスが適切であるかをチェックすることを目的としており、KPIを導入するかどうかは部署の判断に委ねられます。
OKRとKPIのどちらが優れているというわけではありません。両者を適切に使い分けることが重要です。例えば、目標を具体化する段階ではOKRを、具体的な計画を進行させていく段階ではKPIを活用するというように、2つを連動させても良いでしょう。
OKR運用上のポイントは?
1)目標(Objective)は高めに設定する
簡単に実現できそうな目標設定では、組織の成果を最大化することはできません。野心的でありながらも、ある程度現実的で、限界を超えられる目標を設定します。100%の能力で取り組んだときに70~80%達成できる目標が理想的です。
2) 期限を設定する
目標を設定するにあたって明確な期限を設定します。目標設定の内容にもよりますが、OKRの目標は長期的なビジョンとは分けて考え、あまり長いサイクルで行うよりも四半期ごとで区切ると良いとされています。
3)目標数を増やしすぎない
目標数が増えすぎると、リソースが分散して効果が薄くなってしまいます。また、目標同士の衝突や矛盾が生じることもあります。このような問題を防ぐためにも、目標数は多くても4~6個以内とすることがポイントです。
4)成果(key Result)は定量的で計測可能なものを設定する
目標達成度を客観的に評価するため、定量的で計測可能な成果を設定します。成果を設定するだけでなく、成果を設定した理由を明確に説明できるようにすることが大切です。
5)会社として適切な目標を設定する
既に述べたように、OKRでは、会社の目標、部署の目標、個人の目標は相互に連動しています。これは、上位階層の目標設定が適切に行われなければ、下位階層の目標設定も適切に行われないことを意味します。
会社の目標が変われば部署の目標が変わり、それに合わせて個人の目標も変わるため、会社として適切な目標を設定することが大切です。
6)透明性の確保する
OKRは全員が共有し、理解していることが重要です。透明性を確保することで、組織全体の一体感と協力が生まれます。
7)定期的なレビューとフィードバック
OKRの進捗状況を定期的にレビューし、必要に応じて調整を行います。また、フィードバックを行うことで、チームのモチベーションや、パフォーマンスを向上させることが期待できます。
8)柔軟性を持つ
ビジネス環境は常に変化するため、OKRもその変化に対応できる柔軟性を持つことが重要です。必要に応じて目標や主要な結果を見直し、調整することが求められます。
全社員がOKRの重要性を正しく理解することが重要
今回はOKRとKPIとの違い、OKRの運用上のポイントについてご紹介しました。OKRを導入することによって、社員一人一人が会社の中でどのような役割を果たしているのかを確認し、主体的に行動できるようになります。
期待する効果を得るためには、マネジメント層を含めたすべての社員がOKRの重要性を正しく理解することが重要です。