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5月 1, 2025
3 min read time

人事業務委託とは?委託できる業務・費用相場・選び方までわかりやすく解説

人事業務は企業活動の根幹を支える重要な領域ですが、法改正や対応範囲の広がりにより、日々の運用に負担を感じている担当者も多いのではないでしょうか。そうした中、近年注目されているのが「人事業務の外部委託」です。専門性の高い業務をプロに任せることで、ミスの防止や業務の効率化につながります。

本記事では、人事業務委託の基本から、委託できる業務内容、費用感、委託先の選び方までをわかりやすく解説します。

人事業務委託とは?

人事業務委託とは、企業が人事関連の業務を外部の専門業者に委ねる仕組みのことです。人事アウトソーシング(HRO:Human Resources Outsourcing)、人事BPOとも呼ばれます。

近年では、労働関連法の改正や人材不足の影響を受け、より専門性の高い対応が求められるようになっています。こうした背景により、人事業務委託のニーズが高まっています。

人事業務委託の具体的なニーズとは?

矢野経済研究所が2025年に行った調査によると、2023年度の人事・総務関連業務アウトソーシング市場は前年度比5.9%増、2024年度は同5.2%増が予測されています。


スクリーンショット 2025-04-30 122545引用:矢野経済研究所 人事・総務関連業務アウトソーシング市場に関する調査(2025)

内訳としても、シェアードサービス市場、人事業務アウトソーシング市場、総務業務アウトソーシング市場、人材関連業務アウトソーシング市場が全て前年比増。
特に人材関連業務アウトソーシング市場が全体の8割超を占めている状況となっています。

また、最近では業務システムのアウトソーシング化だけでなく、人を介したBPO業務を外注化する動きが活発となっています。
こうしたことからも、間接業務を社内に極力残さない、いわゆる"丸投げ需要”が拡大していることがうかがえます。

委託できる人事業務の具体例と費用感

人事業務を委託する際、具体的にどのような業務が対象となるのか、どの程度の費用がかかるのかは気になるポイントではないでしょうか。
ここでは、委託できる業務の内容とあわせて、費用相場についても見ていきましょう。

委託できる主な業務

人事業務委託では、主に「労務管理」と「採用・育成支援」などに関する業務を外部に任せるのが一般的です。労務分野では、給与計算や勤怠管理、社会保険の手続きといった日常的な実務が対象になります。

一方で、採用支援では、応募者の管理やスカウト業務、面接調整などが含まれます。さらに社員研修の企画や実施、研修効果の評価といった育成支援や、人事評価制度の運用サポートまで委託できるケースもあります。

こうした業務は正確性と専門知識が必要なのはもちろん、採用支援についてはスポット的に発生するケースも多いことが特徴です。これらを専門業者に任せれば、社内負担を軽減し、コア業務への集中につなげられるのが利点です。

費用相場と内訳

人事業務を委託する際の費用は、依頼する業務の種類や従業員数、契約形態によって大きく異なります。
たとえば、給与計算や勤怠管理といった労務系業務は、月額3〜10万円程度が相場です。従業員の規模が大きくなるほど費用も上がる傾向があります。

採用支援は、1案件あたり5〜20万円程度が一般的で、募集人数やサポート内容によって変動します。
さらに、社員研修などの育成支援は、内容によって10万円を超えるケースも少なくありません。

契約形態が「月額固定」なのか「成果報酬」なのかによっても費用感は異なるため、依頼前に明確にしておくことが重要です。

人事を業務委託すべきか迷ったら?判断基準と注意点

人事業務の外部委託には多くのメリットがありますが、すべての企業にとって最適とは限りません。導入を検討する際には、自社の業務状況や課題を踏まえて慎重に判断する必要があります。

ここでは、委託が向いている企業の特徴と、導入前に確認しておきたいポイントを整理してご紹介します。

導入が向いている企業

人事業務委託の導入がとくに効果的なのは、人事業務が属人化しており、特定の担当者に依存しているケースです。
その担当者が不在になると業務が滞るリスクがあるため、外部の専門業者に業務を任せることで安定した運用が可能になります。

また、頻繁な法改正や煩雑な手続きに対応するのが負担になっている場合も、委託によって対応力を強化できます。
加えて、自社の限られた人材リソースをコア業務に集中させたいと考える企業にとっても、有効な選択肢となるでしょう。

委託前に確認すべきこと

人事業務を外部に委託する前には、まず自社の人事業務を棚卸しすることが重要です。
現在社内でどのような業務がおこなわれているかを洗い出し、外注すべき範囲と自社で継続する業務を明確にしましょう。

あわせて、現場の業務負荷や業務が滞っている要因、いわゆる「ボトルネック」の所在を把握しておくことも大切です。
加えて、委託にかかる予算と、それによって得られる業務効率やミス削減といった効果を事前に整理しておくと、判断がしやすくなります。

 

人事業務の委託先の選び方と比較ポイント

人事業務の外部委託を決めたら、次は信頼できるパートナー選びが重要になります。ここでは、委託先を選ぶ際のポイントを具体的に解説します。

対応範囲や得意業務が自社の委託ニーズに合っているか

人事業務の委託先を選ぶ際には、自社が外注したい業務に対して十分な実績や専門性を持っているかを確認することが欠かせません。たとえば、給与計算や採用代行などを依頼したい場合、それらに対応するサービスを提供しているかをチェックしましょう。

また、委託先によっては「人事全般」に対応する会社もあれば、「労務管理に強い」「採用支援を専門とする」といった特化型の業者もあります。こうした得意領域の違いを見極め、自社のニーズに合った委託先を選ぶと、満足度が高まります。

料金体系と契約条件は明確か

人事業務を委託する際は、料金体系が自社の予算や運用に適しているかを確認することも重要です。主な料金モデルには以下のようなものがあり、それぞれメリット・デメリットがあります。

料金モデル

メリット

デメリット

月額固定制

コストが安定し、予算が立てやすい

業務量が少ない月も一定額の費用がかかる

業務単位ごとの課金

必要な業務だけを依頼でき、柔軟に対応できる

業務量が増えると高額になる可能性がある

成果報酬型

成果に応じた支払いができ費用対効果がわかりやすい

最終的なコストの見通しが立てづらい

これらの料金モデルのどれが自社にとって適切か、業務範囲や責任分担、追加費用の発生条件とあわせて比較しましょう。内容が曖昧なまま契約を進めてしまうと、トラブルや想定外のコストが発生するリスクもあるため注意が必要です。

情報管理体制や緊急時の対応スピードも確認しておく

人事業務では、社員の個人情報や給与データなど、機密性の高い情報を扱うため、委託先の情報管理体制も重要な選定基準となります。たとえば、情報セキュリティの認証取得状況や、社内での管理ルール、アクセス制限の有無などは、事前に必ず確認が必要です。

さらに、問い合わせ対応やトラブル発生時のレスポンススピードも見逃せません。業務上のミスや緊急の修正依頼が発生した際の対応の質は、委託後の満足度に直結します。実績をよく確認し、平常時と非常時の対応力を見極めましょう。

 

まとめ:人事業務委託を成功させるために

人事業務の委託は、自社の業務負担を軽減し、専門性と正確性を担保できる有効な選択肢です。煩雑な業務を外部の専門家に任せることで、業務効率や生産性の向上につながります。

委託に際しては、委託先の得意領域や契約条件、情報管理体制をきちんと見極めることが、成功の鍵となります。導入前の準備と比較検討を怠らず、自社に最適なパートナーを見つけましょう。

フォスターリンク株式会社は、給与計算代行や人材管理などの労務業務を中心に人事をトータルで支援するアウトソーシングサービスを提供しています。
経験豊富な専門スタッフが、給与計算の精度向上や法改正への対応をサポートし、企業の人事業務の効率化とリスク軽減に貢献します。
人事業務の委託をご検討の際は、ぜひフォスターリンクにご相談ください。

 

参考文献

  • 矢野経済研究所 人事・総務関連業務アウトソーシング市場に関する調査(2025)

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