2025年11月14日、マイカー通勤者が勤務先から受け取る手当の非課税限度額を引き上げることが財務省から発表されました。
引き上げは2014年以来11年ぶりとなります。
引き上げの詳細は後述の通りとなりますが、新たな金額は本年(2025年)の4月に遡って適用となり、2025年の年末調整から適用となります。現在、年末調整を進めている企業も多いことと思いますが、その中での対応が求められます。
正式な国税庁からの通達が待たれますが、ギリギリの対応となることが予想されますので、しっかりと準備をしておく必要があります。
1. 改正内容の詳細
自宅からの距離が片道10キロメートル以上の場合に、1か月あたりの限度額が、200~7100円上がります。

2. 企業がとるべき対応手順
2-1. 国税庁の新限度額表を確認
- 最新の非課税限度額表を必ず確認し、距離区分ごとの金額を正しく把握しましょう。
最新の情報については、国税庁のホームページで確認してください。
タックスアンサー:No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当|国税庁
2-2. 4月以降の支給額を再計算
- 2025年4月~11月までの通勤手当を、改正後の非課税限度額で再計算します。
- 現行限度額で課税処理していた場合、過徴収分の所得税を還付する必要があります。
- 還付額の計算は、給与システムの自動計算機能(システムのバージョンアップが必要となるため、システム運用会社へ更新時期等の確認が必要)を使うか、Excelでシミュレーションをしましょう。
2-3. 年末調整で精算
- 還付処理を年末調整に組み込み、源泉徴収票に正しい非課税額を反映します。
- 還付が発生する従業員には、事前に本件について通知しておくと問合せ対応がスムーズになります。
- 社内ポータルやメールで「改正内容」「還付の有無」「年末調整での対応」を告知します。
2-5. 給与システムの設定変更
- 来年以降の支給に備え、非課税限度額を更新します。
- システムによっては「改正日付」や「遡及処理」設定が必要なので、システム運用会社に確認しましょう。
3. 実務上の注意点
- 就業規則・給与規程の改定
非課税限度額を基準にしている場合、規程の改定が必要になる可能性があります。 - 距離区分の確認
転居や通勤経路変更があった場合、距離情報が古いと誤った計算になるのでチェックが必要です。 - 社会保険料への影響
給与扱いとなる課税額の減少に伴い、標準報酬月額に影響する可能性があります。 - システム対応のタイムラグ
年末調整が進行中の場合、システム更新が間に合わないケースもあります。その際は暫定対応を検討します。 - 税務調査リスク
還付漏れや誤計算があると、後日指摘される可能性があるため、計算根拠を残しておきます。
まとめ|正しい情報を入手し、迅速に対応を
今回の改正は、企業にとって年末調整の追加対応が必須となります。早めに準備を進め、従業員への周知を徹底しましょう。
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参考文献
国税庁ホームページ
人事院 令和7年 人事院勧告
