KING OF TIME(以下、本文中KOT)は、多様な勤務形態や就業ルールに対応できる勤怠管理システムです。
一方で、設定の自由度が高い分、初期設定や運用中の見直しでつまずく企業も少なくありません。
導入後に月次の集計ミスや給与計算とのズレが続く場合、その原因はシステムそのものではなく、その他の原因が隠れていることが多くあります。
この記事では、KOTの導入後に集計ミスや運用負荷を残さないために、確認しておきたい設定上のポイントを整理します。
本記事のポイント
KOTの設定が難しい構造的理由を理解する
設定が難しくなる背景と、継続的な見直しが必要になる理由を整理します。
導入後につまずきやすい5つの設定ポイントを確認する
確認すべき設定ポイントと、それぞれの設定ミスが、どのような運用上の問題につながるのかを確認します。
設定ミスが引き起こす経営リスクを見極める
経営リスクを重大度別カードで分離し、自社の設定体制を見直すための判断軸を整理します。
外部支援を活用すべきか判断する
4つの自己診断チェックリストで自社体制を点検し、設定代行で依頼できる範囲と社労士連携が必要になる理由を整理します。
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KOT設定の判断には、勤怠管理システム選定の全体像もあわせて確認することが重要です。
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KING OF TIMEの設定が難しい構造的理由
KOTは、多様な勤務形態や承認フロー、給与計算との連携に対応できる勤怠管理システムです。
自社の就業ルールに合わせて細かく設定できる点は大きな強みですが、その自由度の高さが設定の難しさにもつながります。
たとえば、固定時間制、シフト制、変形労働時間制などが混在する企業では、勤務形態ごとに異なる設定が必要です。
就業規則に書かれているルールをKOT上で正しく反映するには、労務管理の知識だけでなく、システム設定に関する理解も求められます。
さらに、KOTの設定は導入時に一度整えれば終わりではありません。
法改正、組織変更、雇用形態の追加などが発生するたびに、設定内容を見直す必要があります。
この継続的なメンテナンスを見落としたまま導入すると、半年後や1年後に集計ミスや手作業での修正が増え、かえって運用負荷が高まる可能性があります。
KING OF TIME導入後につまずく5つの設定ポイント
KOT導入後に集計ズレや給与ミスが起きるとき、原因として多いのは次の5つの設定ポイントです。
いずれも「設定済み」と思っていたが実は不完全だったケースで起きます。
1. 勤務区分の「丸め設定」のズレ
残業時間の集計単位が就業規則と合っていない場合、毎月の残業代に誤差が生じます。
たとえば就業規則が1分単位の割増賃金を定めているにもかかわらず15分丸めで設定していると、1人あたり1日最大14分が切り捨てられます。
50人規模の職場で残業が日常的に発生していれば、年間で十数万円規模の未払いとなり得ます。
2. 法定外残業・深夜残業の設定分離の漏れ
KOTでは「法定内残業」「法定外残業」「深夜残業」を別々に設定し、割増率を区別して適用できます。
ただし初期設定でこれらを一括にしていると、深夜残業(22時〜翌5時)に義務づけられた25%以上の割増賃金が給与から抜け落ちます。
シフト制で深夜帯の稼働が多い職場では、対象者全員分のこの差額が毎月積み上がります。
3. 休暇コードと給与計算ソフトの単位不一致
KOTの休暇区分(時間単位・日単位)と連携先の給与計算ソフトの単位が異なると、データのインポートに失敗します。
マネーフォワードクラウド給与の公式サポートも「勤怠項目の単位を必ず一致させる」と明記しています。
システム連携による自動化を前提に導入したにもかかわらず、毎月この補正のために担当者が手作業を続ける可能性も出てきます。
4. 承認フローの未設定・部分設定
打刻データが給与計算に反映されるタイミングは、KOTの承認フロー設定に依存します。
よくあるのは、承認者が異動した後に後任を設定し忘れ、特定部署の打刻データだけが未承認のまま締め日を迎えるケースです。
気づいたときにはすでに給与計算の確定タイミングを過ぎており、訂正払いが発生します。
5. 雇用区分と勤務区分の組み合わせミス
正社員・パート・契約社員・管理監督者が混在する職場では、雇用区分ごとに異なる勤務区分を割り当てる設定が必要です。
見落とされやすいのは、雇用形態を新たに追加したときの設定変更漏れ。
誤りが発覚するのは入社月の給与計算時で、新入社員の初月給与に誤差が出て初めて気づく、というパターンが典型的です。
KING OF TIMEの設定ミスが引き起こす3つの経営リスク
設定の不備は、「集計が少し合わない」では終わらない可能性があります。
人事責任者として把握すべき経営上のリスクを、リスクが高いもの順に整理します。
リスク1: 設定ミスが未払い残業の発生原因になる
厚生労働省の「監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和3年度)」では、1企業あたりの平均是正額は609万円でした。
是正案件の背景には、丸め設定のズレや割増賃金の計算誤りが含まれています。
毎月わずかな差額でも、遡及計算の対象期間が3〜5年に及ぶと、是正総額は大きくなります。
リスク2: 給与確定の遅延と再計算コスト
集計ミスによって月次の給与計算が確定できない場合、締め作業が翌月にずれ込むか、給与の訂正払いが発生します。
再集計に費やす工数は、設定が正確な場合と比べて月次で数時間〜数十時間の差が出ることがあります。
この工数差は、人件費コストとして年間に換算すると無視できない水準になります。
リスク3: 設定担当者への依存と属人化
KOTの設定知識が特定の担当者に集中している場合、その担当者が異動・退職した時点で設定の変更・修正が止まります。
法改正への対応が遅れれば、未対応期間分の労務リスクが積み上がります。
人事責任者として、「担当者に聞けばわかる」ではなく、設定を体制として整えられているかを確認する必要があります。
これら3つのリスクに共通するのは、表面化するまで気づきにくく、発覚した時点では遡及対応が必要になる点です。
自社で設定しきれるかを判断する4つの問い
「KOTを自社で設定・運用しきれているか」は、次の4つの問いで確認できます。
「No」が2つ以上あれば、設定の外部支援を検討するサインです
- □ 就業規則とKOTの設定を対応させられる担当者が、社内にいるか
- □ 給与計算ソフトとのデータ連携を、専任で検証できる体制があるか
- □ 法改正・組織変更のたびに設定を見直す工数を、継続的に確保できるか
- □ 設定ミスが発生したとき、検知と対応のフローが定まっているか
これら4つは、KOTの設定品質を長期的に維持するために必要な体制の要件です。
現行の設定が「誰かが一度設定したまま」の状態であれば、今の集計精度を再点検する余地があります。
KING OF TIMEの設定を外部に任せるという選択肢
KOTの設定代行とは、初期設定・就業規則との整合確認・給与計算ソフトとの連携設定・承認フロー設計を、専門業者が代わって行うサービスです。
設定代行が役立つ理由は、KOTを正しく機能させるには就業規則・給与計算・労務の3領域の知識が同時に必要だという点にあります。
たとえば、勤務区分の設定ひとつとっても、就業規則の振休・代休の定義がシステムに正しく設定されていなければ、給与計算で割増賃金の誤りが生じます。
就業規則・36協定・有休管理・承認フローを整えて初めて、KOTは正確な集計ツールとして機能します。
フォスターリンク株式会社は、700社以上の人事支援実績をもとに、KOTの設定代行・運用支援を行っています。
長年提携する社労士法人がチームに参加しているため、就業規則と設定の整合確認まで含めて支援できます。
「現在の設定が正しいか確認したい」という段階からのご相談も受け付けています。
現状の設定内容を一度プロの目で確認してもらうことが、最も確実な判断の起点になります。
KING OF TIMEの設定に関するよくある質問
Q. KOTの設定内容が正しいかどうか、どこで確認できますか?
給与計算の確定値と集計結果を突き合わせるのが基本の確認方法です。残業代の算出根拠・休暇日数・雇用区分別の計算結果を、給与明細と照合します。ズレが見つかった場合、まず勤務区分の丸め設定と休暇コードの単位から確認すると、原因を絞り込みやすくなります。
Q. 自社でKOTの設定を変更したところ、集計がおかしくなりました。どう対処すればよいですか?
変更前の設定内容を記録していれば、まず元の状態に戻すことが優先です。KOTは設定変更の影響が集計全体に及ぶことがあるため、変更箇所を特定してから修正するほうがリスクを絞れます。影響範囲を把握しきれない場合は、設定代行業者や社労士に現状の確認を依頼することを検討してください。
Q. 設定代行を依頼すると、就業規則の整備も必要になりますか?
設定代行では、現行の就業規則をもとにKOTの設定を構築します。就業規則とシステム設定の間に矛盾がある場合、代行の過程でその箇所が明らかになります。就業規則の改訂まで対応するかは業者によって異なるため、依頼前に対応範囲を確認することを推奨します。
Q. すでに自社で設定している状態から、設定を引き継いでもらえますか?
稼働中のKOTを設定代行業者が引き継ぐケースは少なくありません。現状の設定内容の棚卸し・誤設定の確認・修正範囲の合意が必要になるため、新規導入よりも初期の確認工程が増えます。現在の設定に不安がある場合、まず「設定診断」として現状確認だけを依頼する方法もあります。
【出典】
・厚生労働省「監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和3年度)」
・マネーフォワードクラウド給与 公式サポート「KING OF TIMEの連携設定方法」
・KING OF TIME 公式オンラインヘルプ(初期設定・各種設定・運用)
