キングオブタイムを導入しているにもかかわらず、給与計算時にミスが残ることがあります。実際に設定や運用を確認すると、打刻データの取得ではなく、給与計算に使う集計区分や出力項目の整理でつまずいているケースが少なくありません。
実務では、勤怠データは取得できていても、給与計算に使う段階で確認や補正が発生することがあります。こうした場合は、連携方法だけでなく、設定内容や運用ルールまで含めて見直す必要があります。
この記事では、キングオブタイムを導入しても給与計算ミスが残る原因を5つに分け、連携・設定で見直すべきポイントを整理します。
社労士監修
フォスターリンク株式会社
2000年の創業以来、700社以上の人事支援を手がける人事のベストパートナー。社会保険労務士の資格を持つ担当者が在籍し、勤怠管理・KING OF TIME運用支援の実務知見をもとに本記事を監修・執筆しています。
キングオブタイムを入れても給与計算ミスが残るのはなぜか
キングオブタイムを導入しても、勤怠設定と給与計算ルールが適切に連携されていなければ、給与計算ミスや手作業は残ります。
キングオブタイムは、打刻や勤怠集計、休暇管理を効率化できるシステムです。しかし、給与計算で必要になるのは、出退勤時刻だけではありません。残業時間、深夜労働、休日労働、欠勤、遅刻早退、振休・代休、有給休暇などを、給与計算で使える項目として正しく整理する必要があります。
導入支援の現場でも、キングオブタイム上では勤怠データを管理できている一方で、給与計算前にExcelで修正・加工しているケースがあります。これは、キングオブタイムの機能不足というより、勤怠ルール、集計項目、休暇区分、給与ソフト側の取込形式が合っていないことが原因になりやすいです。
そのため、給与計算ミスを防ぐには、「データを出力できるか」ではなく、「給与計算に使える形でデータを確定できるか」を確認することが重要です。
キングオブタイムと給与計算の連携でミスが起きる5つの原因

キングオブタイムと給与計算の連携でミスが残る場合、原因は一つとは限りません。勤怠の締め日、集計区分、休暇区分、従業員情報、CSVフォーマットなど、複数の設定や運用が関係します。
ここでは、給与計算ミスや手作業修正が残りやすい原因を5つに分けて整理します。
原因1:締め日・集計期間が給与計算と合っていない
まず確認したいのが、キングオブタイム上の勤怠締め日と、給与計算で使う対象期間が一致しているかです。
たとえば、勤怠は月末締め、給与計算は別の締め期間で処理している場合、残業時間、休日出勤、休暇取得、欠勤控除などの対象期間がずれることがあります。また、締め後に勤怠修正が入った場合、その修正を給与計算へどのタイミングで反映するかも重要です。
| よくある状態 | 勤怠の締め期間と給与計算の対象期間が一致していない |
|---|---|
| 起きるミス | 月またぎの残業、休日出勤、休暇取得が給与に正しく反映されない |
| 確認すべき設定 | 勤怠締め日、給与計算期間、CSV出力対象期間、締め後修正の反映方法 |
勤怠締めと給与計算の期間がずれていると、毎月の確認作業が属人化しやすくなります。KING OF TIMEから出力する期間と、給与計算側で取り込む期間を合わせて確認しましょう。
原因2:残業・深夜・休日労働の集計区分が給与計算項目と合っていない
給与計算では、単に労働時間の合計を見るだけではなく、所定外労働、法定時間外労働、深夜労働、法定休日労働、所定休日労働などを分けて扱います。
キングオブタイム上の集計項目と、給与計算ソフト側の支給項目・割増項目が合っていないと、CSVを取り込んでも、給与計算前に項目の置き換えや再集計が必要になります。
| よくある状態 | キングオブタイムの残業集計と、給与計算側の割増項目が対応していない |
|---|---|
| 起きるミス | 残業代、深夜割増、休日割増の計算に誤りが出る |
| 確認すべき設定 | 勤務区分、残業集計、深夜時間、法定休日・所定休日、給与ソフトの取込項目 |
特に、変形労働時間制、フレックスタイム制、シフト制、夜勤がある企業では、残業や深夜時間の集計条件が複雑になります。機能として集計できるかだけでなく、自社の就業規則と給与計算のルールに合う形で出力できるかを確認することが重要です。
原因3:休暇区分・振休・代休の扱いが整理されていない
給与計算ミスが起きやすい領域の一つが、休暇区分です。有給休暇、半休、時間単位有休、特別休暇、欠勤、振休、代休などは、名称が似ていても給与計算上の扱いが異なります。
たとえば、振休と代休の扱いが曖昧なまま設定されていると、休日労働の割増計算や控除処理に影響します。また、特別休暇を有給休暇と同じように処理している場合、休暇残日数や給与計算にずれが出ることがあります。
| よくある状態 | 休暇区分は作っているが、給与計算上の扱いまで整理されていない |
|---|---|
| 起きるミス | 欠勤控除、休日労働、休暇残日数、給与支給額にずれが出る |
| 確認すべき設定 | 休暇区分、申請フロー、給与連携項目、振休・代休の運用ルール |
休暇区分は、勤怠管理上の見た目だけで判断しないことが重要です。その休暇を取得したときに、給与計算で支給・控除・割増のどこに影響するのかまで確認しておきましょう。
原因4:従業員コード・雇用区分・所属情報が一致していない
給与計算ソフトへデータを取り込む際、従業員コードや社員番号が一致していないと、勤怠データを正しい従業員に紐付けられません。
また、雇用区分や所属情報が古いままになっていると、勤務ルールや給与計算ルールの適用を誤ることがあります。異動、雇用区分変更、休職、退職、再雇用などがある会社では、マスタ情報の更新ルールも重要です。
| よくある状態 | キングオブタイムと給与計算ソフトで従業員コードや雇用区分が一致していない |
|---|---|
| 起きるミス | データ取込エラー、別従業員への紐付け、勤務ルールの適用誤りが起きる |
| 確認すべき設定 | 従業員コード、社員番号、雇用区分、所属、入退社日、マスタ更新手順 |
給与計算との連携では、勤怠データだけでなく、従業員マスタの整合も欠かせません。誰が、いつ、どのシステムのマスタを更新するのかを決めておく必要があります。
原因5:CSV出力項目・取込フォーマットが給与計算側に合っていない
キングオブタイムからCSVを出力できても、そのまま給与計算ソフトに取り込めるとは限りません。給与計算ソフト側が求める項目名、並び順、単位、形式に合っていない場合、Excelで加工する作業が残ります。
たとえば、時間の表記が「時間:分」なのか「小数」なのか、項目名が給与計算ソフトの取込項目と一致しているか、不要な項目を削除する必要があるかなど、細かい違いが毎月の手作業につながります。
| よくある状態 | CSVは出力できるが、給与計算ソフトに取り込む前に加工が必要 |
|---|---|
| 起きるミス | 転記ミス、加工漏れ、取込エラー、確認作業の属人化が起きる |
| 確認すべき設定 | CSV出力項目、項目名、並び順、時間表記、給与ソフト側の取込フォーマット |
給与計算ミスを減らすには、CSVを出せるかではなく、給与計算で使える形で出せるかを確認します。毎月同じ加工をしている場合は、キングオブタイム側の出力設定や給与計算側の取込設定を見直す余地があります。
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連携ミスを放置した場合に起こり得るリスク
勤怠データの連携ミスは、単なる事務作業の手戻りにとどまりません。残業、深夜、休日労働、欠勤控除、休暇取得の扱いがずれると、給与計算の誤りにつながる可能性があります。
特に時間外労働については、原則として月45時間・年360時間という上限があり、臨時的な特別の事情がある場合でも、年720時間以内、単月100時間未満、複数月平均80時間以内などの上限があります。勤怠データを正しく把握できていないと、上限管理や割増賃金の確認にも影響します。
また、厚生労働省のガイドラインでは、使用者には労働時間を適正に把握する責務があるとされています。キングオブタイムを導入していても、未打刻、申請漏れ、承認漏れ、締め後修正の運用が曖昧なままでは、正確な労働時間管理にはつながりません。
給与計算ミスを防ぐには、勤怠システム、給与計算ソフト、就業規則、実際の運用を別々に見るのではなく、一連の流れとして確認することが重要です。
自社の連携体制を点検するチェックリスト
キングオブタイムと給与計算の連携でミスが残っている場合は、まず自社の設定・運用を切り分けて確認します。
以下の項目に当てはまる場合は、連携設定や運用ルールを見直す余地があります。
- 給与計算前に、毎月Excelで勤怠データを加工している
- 残業、深夜、休日労働の集計項目を手作業で確認している
- 振休・代休・特別休暇の扱いを担当者判断で修正している
- CSVを出力しても、給与計算ソフトへそのまま取り込めない
- 従業員コードや雇用区分の不一致で取込エラーが起きる
- 締め後修正が給与計算へ反映されたか毎回確認している
- 設定内容を理解している担当者が限られている
- 法改正や就業規則変更のたびに、どの設定を直すべきか分からない
該当する項目が多い場合、給与計算ミスの原因は、個別の作業ミスではなく、設定・連携・運用ルールのずれにある可能性があります。
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キングオブタイムの設定を見直すべき会社の特徴
キングオブタイムを導入していても、次のような会社では、設定内容や給与計算連携を見直す必要が生じやすくなります。
勤務形態や雇用区分が複雑な会社
正社員、契約社員、パート、アルバイト、管理監督者、短時間勤務者など、複数の雇用区分がある場合、勤務区分や集計ルールを分けて設定する必要があります。
さらに、シフト制、変形労働時間制、フレックスタイム制、夜勤などがある場合、残業や深夜時間の集計条件も複雑になります。給与計算に必要な項目が正しく出力できているかを確認しましょう。
休暇制度が複数ある会社
有給休暇、半休、時間単位有休、特別休暇、振休、代休などがある会社では、休暇区分の設定が給与計算に影響します。
休暇区分を細かく作っていても、給与計算側でどう扱うかが整理されていなければ、結局は手作業で確認することになります。休暇管理は、勤怠システム上の残日数管理だけでなく、給与計算とのつながりまで見ておくことが重要です。
給与計算前に手作業が残っている会社
毎月、給与計算前にCSVを開いて修正している、残業時間を別表で確認している、休暇区分を手作業で置き換えている場合は、設定や連携フォーマットを見直す余地があります。
手作業が残っている状態では、担当者の経験に依存しやすく、引き継ぎや繁忙期にミスが起きやすくなります。どの作業がシステムで処理でき、どの確認を人が行うべきかを分けて整理しましょう。
自社で対応するか、外部支援に相談するか
キングオブタイムの設定見直しは、自社で対応できる場合もあります。ただし、労務ルール、システム設定、給与計算の3つが絡む場合は、社内だけでは原因を切り分けにくいことがあります。
以下に、それぞれのケースについてまとめます。
自社で対応
向いているケース
- 社内に勤怠・給与・労務を横断して見られる担当者がいる
- 設定変更や確認の時間を確保できる
注意点
担当者個人に依存しやすく、異動・退職時に運用が止まりやすい
一部を外部支援
向いているケース
- 運用の主体は社内に置きたい
- 設定や検証だけ専門家の支援を受けたい
注意点
社内と外部の役割分担が曖昧だと、対応漏れや認識ずれが起こりやすい
外部支援を活用
向いているケース
- 担当者不足がある
- 毎月手作業修正が発生している
- 属人化を解消したい
注意点
委託範囲と責任分界点を事前に整理し、社内の確認体制も残しておく必要がある
外部支援を利用する場合は、単にキングオブタイムの操作に詳しいだけでなく、就業規則、勤怠集計、給与計算のつながりを確認できるかが重要です。
給与計算ミスを防ぐためのキングオブタイム見直し手順
給与計算ミスを防ぐには、原因を一つずつ切り分けて確認することが大切です。いきなり設定を変更するのではなく、以下の手順で現在の運用を整理したうえで、必要な修正を行うようにしましょう。
Step1:現在の給与計算前の作業を書き出す
まず、キングオブタイムからデータを出力してから給与計算が完了するまでの作業を整理します。
CSV出力、Excel加工、確認、修正、取込、再確認など、担当者が行っている作業を具体的に書き出します。
Step2:手作業が残っている理由を確認する
次に、その手作業がなぜ残っているのかを確認します。
出力項目が足りないのか、給与ソフト側の取込形式と合っていないのか、休暇区分や残業区分の整理ができていないのかを分けてチェックしていくようにしましょう。
Step3:就業規則・勤怠設定・給与計算項目を照合する
就業規則に定められた勤務ルールと、キングオブタイムの設定、給与計算ソフトの項目を照合します。
特に、残業、休日労働、深夜労働、休暇、控除に関わる項目は、実際の給与計算に直結します。
Step4:テストデータで給与計算まで確認する
設定を変更したら、実際に起きやすい勤務パターンを使ってテストします。
残業、休日出勤、半休、時間単位有休、振休・代休、月途中入社など、ミスが起きやすいケースを確認しておくと、運用開始後の手戻りを減らしやすくなります。
給与計算ミスを防ぐには、キングオブタイムの設定と運用を見直すことが重要
キングオブタイムを導入しても給与計算ミスが残る場合、原因はシステムの機能不足とは限りません。締め日、集計区分、休暇区分、従業員コード、CSVフォーマットなどが給与計算側のルールと合っていないと、連携後も手作業や確認が残ります。
特に、勤務形態や休暇制度が複雑な企業では、勤怠データを出力できるだけでなく、給与計算に使える形で確定できるかが重要です。
フォスターリンクでは、社労士と連携したチームが、キングオブタイムの設定内容と勤怠ルール、給与計算との整合を確認します。給与計算前の手作業や確認工数を減らしたい場合は、現在の設定と運用を一度見直してみてください。
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給与連携のミスは、設定段階の問題とシステム選定の問題が混在していることがあります。
原因を切り分けるために、設定のつまずきと、そもそものシステム比較の判断軸をあわせて確認しておくと整理しやすくなります。
よくある質問
キングオブタイムを導入しても、給与計算前のExcel加工が残るのはなぜですか?
多くの場合、キングオブタイムの集計項目やCSV出力項目が、給与計算ソフト側の取込形式や給与項目と合っていないことが原因です。勤怠データを出力できても、給与計算に使える形で確定できていなければ、Excelでの修正や加工が残ります。
給与計算ミスを減らすには、キングオブタイムのどこを見直すべきですか?
まずは、締め日、残業・深夜・休日労働の集計区分、休暇区分、従業員コード、CSV出力項目を確認します。特に、給与計算前に毎月同じ項目を手作業で修正している場合は、その部分が設定や連携フォーマットの見直し対象になります。
自社で見直すべきか、外部支援に相談すべきかの判断基準はありますか?
勤務形態がシンプルで、勤怠設定と給与計算ルールを社内で把握できている場合は、自社で見直せる可能性があります。一方で、変形労働時間制、シフト制、夜勤、複数の休暇区分がある場合や、毎月手作業修正が発生している場合は、外部支援に相談する価値があります。
出典・参考情報
- 厚生労働省「時間外労働の上限規制」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/topics/01.html - 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html
