キングオブタイムで集計した勤怠データを他社の給与計算ソフトへ連携する場合、多くはCSVファイルを使ってデータを受け渡します。給与奉行、弥生給与、マネーフォワード クラウド給与、freee人事労務などへインポートする流れです。
ただし、勤怠項目と給与項目、休暇区分、残業時間の集計単位、雇用区分ごとの設定が合っていないと、給与計算時に手作業での修正が発生します。
この記事では、キングオブタイムと給与計算ソフトの連携でミスが起きやすい原因と、設定ミスが未払い残業リスクにつながる仕組み、外部支援を検討すべき判断基準を解説します。
本記事のポイント
連携ミスが起きる仕組みを理解する
CSV連携でデータの整合性が崩れる箇所を理解し、ミスがどこにおきやすいのかを見極めます。
連携でミスが起きやすい5つの原因を確認する
ミスを防ぐために導入・連携前に確認すべきポイントを整理します。
経営リスクを把握する
厚労省のデータを踏まえて、連携ミスが未払い残業に転化する仕組みを確認します。
内製と外部委託の判断基準を整理する
自社だけで連携設定や運用確認を継続できるかを、チェックリストで確認します。
▶ 関連記事
キングオブタイムの設定そのものでつまずく原因は、別の記事で詳しく整理しています。
連携前の設定段階から見直したい場合に合わせて読むと、原因の切り分けに役立ちます。
キングオブタイムと給与計算の連携でミスが起きる理由
キングオブタイムから他社の給与計算ソフトへ勤怠データを連携する場合、多くはCSVファイルを使ってデータを受け渡します。キングオブタイムで集計した勤怠データを出力し、給与奉行、弥生給与、マネーフォワード クラウド給与、freee人事労務などに取り込む流れです。
CSV連携は柔軟に運用できる一方で、データの整合性を保つ責任は自社側に残ります。給与計算ソフトが求める項目や形式と、キングオブタイムから出力されるデータが一致していなければ、正しく取り込めない可能性があります。
連携時に起きるミスは、打刻データそのものの誤りとは限りません。むしろ、集計ルール、締め日、勤務区分や従業員コードなどが、自社の運用や給与計算ソフトの設定と合っていない箇所に集中します。
さらに厄介なのは、CSVを取り込んだ時点ではエラーが出ず、給与計算の直前になって不整合に気づくケースがあることです。そのため、キングオブタイムと給与計算ソフトを連携する際は、出力形式だけでなく、集計ルールやコード体系まで含めて確認する必要があります。
連携時にデータが崩れる5つの原因
キングオブタイムと給与計算ソフトの連携でミスが起きるのは、主に次の5つの場面です。
いずれも「連携設定は完了しているが、自社のルールとは合っていない」場合に起こりやすいミスです。
1. 締め日・集計期間のズレ
キングオブタイム側の締め日と給与計算ソフト側の集計期間が一致していないと、残業時間をどの月の給与に反映するかがずれてしまいます。
たとえば、キングオブタイムでは20日締めで集計しているのに、給与計算ソフト側が月末締めの設定になっている場合、月をまたいだ残業時間が翌月分として計上される可能性があります。
このズレが起きると、1か月分の残業代が本来とは異なる月に反映されるため、給与計算の誤りや訂正対応につながります。
2. 勤務区分コードの不一致
キングオブタイムでは、フレックス、変形労働時間制、シフト制など、勤務区分ごとにコードを割り当てて管理します。
この勤務区分コードが給与計算ソフト側の区分と正しく対応していないと、時間単価や割増賃金の計算にズレが生じる可能性があります。
特に注意が必要なのは、新しい勤務区分を追加したときです。キングオブタイム側だけで区分を追加し、給与計算ソフト側の対応設定を更新していない場合、その勤務区分に該当する従業員だけ給与計算が誤ることがあります。
3. 休暇区分の単位不一致
有休、代休、特別休暇などの休暇データは、キングオブタイム側と給与計算ソフト側で管理単位をそろえておく必要があります。
たとえば、キングオブタイムでは時間単位で休暇を管理している一方で、給与計算ソフト側が日単位で受け取る設定になっていると、休暇の消化日数や控除額の計算にズレが生じる可能性があります。
特に、半休や時間単位有休を導入している企業では注意が必要です。休暇単位の不一致が残ったまま連携すると、給与計算だけでなく、残業時間との相殺や休暇残数の管理にも影響が及ぶ場合があります。
4. 従業員コードの同期漏れ
入社、退職、異動が発生した際は、キングオブタイムと給与計算ソフトの両方で従業員コードを正しく同期しておく必要があります。
従業員コードが一致していないと、特定の社員の勤怠データが給与計算ソフトに正しく取り込まれず、給与計算に反映されない可能性があります。
特に注意が必要なのは、入社直後の社員です。キングオブタイム側には登録されていても、給与計算ソフト側の登録やコード連携が完了していない場合、初月給与に勤怠データが反映されないといったミスが起こりやすくなります。
5. CSVフォーマットの不整合
連携CSVを正しく取り込むには、項目の順序、ヘッダー名、従業員番号の表記などを、給与計算ソフト側の形式に合わせる必要があります。
一度フォーマットを整えれば、基本的には毎月同じ形式で利用できます。しかし、給与計算ソフト側で項目の追加や変更があると、それまで使えていたCSVでも取り込みエラーが発生することがあります。
また、文字コードの違いによって氏名が文字化けし、データの確認や取り込みに支障が出るケースもあります。CSV連携では、初期設定だけでなく、給与計算ソフト側の仕様変更に合わせた定期的な確認も重要です。
連携を設定する前に、決裁に関わる方は次の項目を整理しておくと安心です。
連携設定の決裁前チェック
- □ キングオブタイムと給与ソフトの締め日・集計期間が書面で対応づけられているか
- □ 勤務区分コードが給与計算ソフト側と一致しており、追加時の更新ルールも決まっているか
- □ 休暇区分の単位(時間/日)が両システムで揃っているか
- □ 入社・退職・異動時に、従業員コードを同期する手順が決まっているか
- □ 連携CSVのフォーマットを誰が管理し、給与計算ソフト側の変更を誰が確認するか決まっているか
これらは、責任者が自ら設定を操作するための確認項目ではありません。
連携設定のどこにリスクがあり、誰が責任を持って整備・確認するのかを、決裁前に明確にするための論点です。
キングオブタイムの連携ミスが未払い残業につながる理由
連携ミスは、一見すると現場の作業上の問題に見えます。しかし、放置すると経営リスクに発展する可能性があります。勤怠データの集計ズレが残業代の計算漏れにつながり、それが未払い残業として積み上がるためです。
厚生労働省の「賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和6年)」では、賃金不払の事案は22,354件、対象労働者は185,197人、未払い額は172億1,113万円にのぼっています。賃金不払は、日々の勤怠管理や給与計算における小さな見落としが、後から大きな是正負担として表面化することがあります。
キングオブタイムと給与計算ソフトの連携ミスで特に注意すべきなのは、発覚が遅れやすい点です。CSVの取り込み時点では問題が見えず、給与計算の確定後に初めて誤りに気づくケースもあります。ミスが数か月続けば、過去にさかのぼって再計算が必要になり、遡及期間が数年に及ぶ可能性もあります。
責任者として押さえておきたいのは、未払い額を支払えば終わりではないという点です。
是正対応にかかる工数、社労士や弁護士への相談費用、従業員からの信頼低下など、金額に表れにくいコストも同時に発生します。
自社の連携体制を点検するチェックリスト
キングオブタイムと給与計算ソフトの連携運用を社内で継続できているかは、次の項目で確認できます。
「No」が2つ以上ある場合は、外部支援を検討するサインです
- □ 締め日・集計期間の対応関係を、書面で説明できる担当者がいるか
- □ 勤務区分・休暇区分のコード対応を、定期的に点検しているか
- □ 入退社・異動時の従業員コード同期が、手順として明文化されているか
- □ 連携CSVのエラーを、給与確定前に検知する仕組みがあるか
- □ 連携設定を把握している担当者が複数おり、属人化していないか
「No」が2つ以上ある場合、連携運用を社内だけで安定して支えるのは難しい状態かもしれません。
現時点で大きな問題が起きていなくても、担当者の異動、雇用区分の追加、法改正などをきっかけに、ミスが表面化する可能性があります。
連携設定を外部に任せる判断基準
連携運用を自社で対応するか、外部支援を活用するかは、人員体制とリスク許容度を踏まえて判断します。
就業規則や給与規定の更新、運用ルールの社内周知は、自社判断が中心となるため社内で整理しやすい領域です。
一方で、キングオブタイムと給与計算ソフトの初期連携設定、勤務区分・休暇区分のコード対応、給与計算そのものの代行は、専門知識が必要なため、外部支援を活用したほうが安定しやすい領域です。
判断する際は、「誰が担うのか」「属人化していないか」「退職や異動があっても運用を維持できるか」を確認します。
ここに不安がある場合は、外部委託の対象として整理することをおすすめします。
フォスターリンクでは、給与計算代行とキングオブタイムの設定代行・運用支援を提供しています。
就業規則と連携設定の整合性確認まで含めて、貴社の体制に合わせた支援範囲を整理します。
▶ 導入事例
変形労働制の集計ルールが未整理だった福祉施設が、法令基準に沿った設定を実現
有給・無給区分や変形労働制の集計ルールが未整理で、法定基準を満たしているか不明な状態でした。フォスターリンクが就業規則との整合確認から設定代行までを担い、コンプライアンスリスクを回避。旧システムの誤集計の特定・修正と、操作手順書の整備まで一括対応しました。
キングオブタイムと給与計算の連携でミスを防ぐために
キングオブタイムと給与計算ソフトの連携で起きるミスは、システムの不具合ではなく、データの受け渡し設定が自社のルールと合っていないことが原因です。打刻データそのものより、締め日・コード・単位の食い違いが、給与ミスの起点になります。
連携でデータが崩れる原因は5つ。締め日・集計期間のズレ、勤務区分コードの不一致、休暇区分の単位不一致、従業員コードの同期漏れ、CSVフォーマットの不整合です。これらを誰が責任を持って整備し、点検するかを、連携の前に体制として決めておきます。
連携運用を社内だけで支えるか、外部の支援を受けるかは、人員体制とリスク許容度の判断です。
チェックリストで自社の状態を点検し、属人化のリスクや発覚の遅れによる遡及リスクと照らして、委託する範囲を見極めておくことが大切です。
とくに、給与計算の代行とキングオブタイムの運用支援を一体で任せられるパートナーであれば、勤怠側の変更が給与計算に与える影響まで切れ目なく管理できます。自社の体制を踏まえ、どこまでを社内で持つかを個別にすり合わせることが、ミスのない連携への近道です。
参考情報
- 厚生労働省「賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和6年)」(2025年8月公表)
- KING OF TIME オンラインヘルプ・管理者マニュアル(給与データ出力、CSV連携、締め日設定)
- 労働基準法(第32条・第37条)
