間接業務の効率化を図る必要がある、給与計算業務に手間がかかり負担が大きいと感じている、といった場合、給与計算業務をアウトソーシングすると課題解決につながります。
本記事では、給与計算アウトソーシングの概要やメリット・デメリット、種類と料金の相場などをご紹介します。
具体的な導入の流れや選び方のポイントも解説しますので、業務効率化を検討中の方はぜひ参考にしてください。
給与計算アウトソーシングとは
給与計算アウトソーシングとは、月々の給与計算や賞与計算などに関する業務を委託できるサービスです。
従業員数が少ないうちは、エクセルで給与を管理している企業も少なくありません。また、経理担当の方が給与担当を兼任しているといったケースも多いでしょう。
しかし従業員数が増えてくると、そのような方法や体制では管理しきれなくなり、ミスの発生リスクも高まります。
また、近年は働き方改革で雇用体系や勤務体系が複雑になり、給与計算の負担が増大しています。給与計算アウトソーシングの利用によって、課題解決につながります。
給与計算アウトソーシングのメリット・デメリット
給与計算をアウトソーシングすると、どのようなメリット・デメリットがあるのかを解説します。
メリット
給与計算をアウトソーシングするもっとも大きなメリットは、業務を効率化し、本業に集中できるようになることです。
給与計算は高い専門性と正確性が必要で、業務量もそれなりに発生します。しかしながらノンコア業務であり、それ自体が利益を生み出すことはありません。
アウトソーシングすれば、かかるコストを最小限に抑え、人員をコア業務に振り分けられます。
給与計算をアウトソーシングすると、業務の属人化も防げます。給与計算業務は、その秘匿性や専門性の高さから、ごく限られた担当者で行われているケースが多くあります。
そのため、その人が退職すると給与計算業務が滞るリスクがありますが、アウトソーシングすればその心配がありません。
また税制改革など、給与計算に影響する法改正があった場合でも、法令を遵守した正しい給与計算をおこなえることにより、コンプライアンス違反などの経営リスクを回避できることもメリットの一つです。
デメリット
給与計算をアウトソーシングするデメリットは、社内の給与計算に関するノウハウが失われてしまうことです。なんらかの理由で再度自社で対応することになった場合は、ゼロから人材を育てなければなりません。
またアウトソーシングに際しては、自社の給与体系や、従業員の個人情報を委託先に提供する必要があるため、情報漏えいのリスクも懸念されます。
なおアウトソーシングするといっても、勤怠管理や、委託先とのデータのやり取りなど、必ず業務は発生します。
スケジュールにも注意が必要です。社内で処理する場合はギリギリのスケジュールで給与振込にどうにか間に合わせる、といったようなやり方が可能かもしれません。
しかし、外部に委託する場合はデータの提出期日などはシビアになり、守れない場合に正しい給与処理ができない、といったことになりかねません。
そのような点もよく理解し、委託する業務範囲や、委託した場合のスケジュールがどんな形になるのかも、導入時にしっかりと理解しておきましょう。
給与計算アウトソーシングサービスの種類と適した企業
給与計算アウトソーシングは提供者や内容により、主に以下の3種類に分かれます。
- 税理士・社労士型サービス
- 給与計算代行会社 - 複合型サービス
- 給与計算代行会社 - スポット対応型サービス
それぞれ特徴や内容が異なるため、企業規模にあったサービスを選ぶのがおすすめです。
1.税理士・社労士型サービス
給与計算は、税理士事務所や社労士事務所にアウトソーシングできます。税理士や社労士は、税務や労務など、それぞれの士業にまつわる業務と合わせて、給与計算業務サービスを提供しているのが一般的です。
少人数のスタートアップ企業などで、税理業務についても任せたいなら税理士に、労務手続きも依頼したいなら社労士を選ぶとよいでしょう。
2.給与計算アウトソーシング会社 - 複合型サービス
給与計算だけではなく、以下のような給与全体に関わるサービスも提供しているのが複合型サービスです。また、業務代行だけでなく、給与計算や人事情報管理のシステムをあわせて提供している会社もあります。
これらを利用すれば、人事情報の一元管理や、Web給与明細の導入なども実現できます。
<複合型サービスで依頼できる業務の例>
- 社会保険月額変更届
- 社会保険算定基礎届
- 賞与計算
- 年末調整
- 勤怠管理
- 住民税特別徴収更新
- 労働保険料年度更新
- 人事情報管理
- マイナンバー管理
複合型サービスは、給与計算に必要なデータを提供すればアウトソーシング会社が業務を行うので、給与計算業務を最大限に効率化でき、人材をコア業務に集中できることが大きなメリットです。人事情報の管理サービスを提供している会社もありますので、給与計算だけでなく、人材管理を含めた人事業務全体の効率化を検討している場合にもおすすめです。
中小〜大企業に向いていますが、従業員数が少ない場合はコストが割高になってしまう場合もあるので、コストメリットがあるかどうかを確認しましょう。
なお、人材管理については、こちらの記事でも紹介しています。
【関連記事】人材管理とは?メリットやポイントと人材定着のための施策5選
3.給与計算アウトソーシング会社 - スポット対応型サービス
スポット対応型は、特定の業務や繁忙期などに限定し、一時的に利用できるサービスです。「普段は自社で対応できるが年末調整の時期は人手が足りない」「アウトソーシングは繁忙期だけの利用とし、できるだけコストを抑えたい」といった企業に向いています。
給与計算アウトソーシングの料金の相場
給与計算アウトソーシングの料金の相場をご紹介します。
給与計算以外の業務、例えば年末調整や社会保険慣例処理などを依頼する場合は、別途費用が発生する場合があります。
サービスを選ぶ際は、委託する業務範囲を確認し、社内の工数も考慮してトータルコストで比較することが大切です
給与計算アウトソーシング導入の流れ
給与計算アウトソーシングを導入するときにはどのように進めればよいのか、具体的な流れを解説します。
STEP1.現状を分析する
まず必要なのは、現在の給与計算業務の課題を洗い出し、アウトソーシング導入の目的を明確化することです。
膨大になった給与計算業務を効率化したいのか、人件費をカットしコストを削減したいのかによって、選ぶサービスが異なるためです。
また、将来の従業員数・業務量拡大の見込みも予測しておくと、たびたびサービスを乗り換えなくてよくなります。
STEP2.ほかにアウトソーシングする業務がないか検討する
給与計算をアウトソーシングするのであれば、ほかに委託できる業務がないかもあわせて検討しましょう。
例えば人材管理などの関連業務もあわせてアウトソーシングすると、より効率化できます。
また、今は給与計算だけの場合でも、のちのちほかの業務も委託を検討する可能性があるなら、はじめからそれらに対応できるサービスを選んでおくとスムーズです。
STEP3.予算を設定する
あわせてアウトソーシングにかけられる予算を設定します。給与計算をアウトソーシングするには、運用コスト以外に初期費用がかかるのも一般的なので、考慮したうえで検討しましょう。
STEP4.目的と予算にあったサービスを選ぶ
導入を検討している業者から見積もりを取り、比較して選びます。その際、価格だけで選ぶのは禁物です。
委託できる業務範囲などを確認し、委託後の業務イメージを明確にして、目的が達成できるのかをよく検討した上で、価格と品質のバランスを見極めて選ぶことが重要です。
STEP5.契約を締結・導入する
選定した業者と契約を締結し、委託を開始します。
委託に必要なデータ整備やデータの受け渡しなどの導入作業が発生します。準備ができたら、まずは現状の方法と平行稼働させ、相違ないか確認のうえで本稼働に移るのが一般的です。
導入後の流れについても、契約時によく確認しておきましょう。
給与計算アウトソーシングサービスを選ぶ際の注意点
給与計算アウトソーシングサービスを選ぶ際の注意点をご紹介します。
委託できる業務範囲を確認する
委託できる業務範囲はどこまでか、委託できない業務はなにか、委託することによって新たに発生する作業などはなにか、などを洗い出し、委託後の業務イメージを明確にした上でサービスを検討しましょう。
それらの点が曖昧なままサービスを利用することによって、導入後に想定外の問題が起きたり、余計なコストが発生するといった事態は避けたいものです。
データ保護に関するセキュリティレベルを確認する
一般的に給与計算に関する情報は社外秘であるため、セキュリティ対策や情報の管理方法については、事前に十分確認が必要です。
通信の暗号化はもちろん、不正アクセス対策や災害時に備えたバックアップ体制が取られているかなどを確認しましょう。
導入実績をチェックする
サービスのサイトをチェックし、導入実績を確認しましょう。実際に導入・可動している実績が多くあるなら、サービスの信頼性は高まります。
実際に導入している企業の声が掲載されているなら、大いに参考になるでしょう。
まとめ
給与計算アウトソーシングは、業務効率化やコスト削減に有効な手段です。導入を検討する際は、自社の現状と目標を明確にし、適切なサービスを選択することが重要です。
また、給与計算のアウトソーシングは、ほかに委託できる業務がないかをあわせて検討するとより効率的です。
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