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5月 29, 2025
7 min read time

【徹底解説】人事管理とは?システムの費用相場や導入手順

企業が持続的に成長していくために、最も重要な資源のひとつが「人」です。その「人」を最大限に活かし、組織全体のパフォーマンスを引き出すために欠かせないのが「人事管理」の仕組みです。

しかし、多くの企業では、「従業員情報の管理はExcelで十分」「評価や育成の仕組みが属人的」「異動・配置が場当たり的」などの課題を抱えています。変化が激しく、人材の多様化が進む現代において、旧来的な管理方法では、企業競争力を維持・強化することは困難です。

本記事では、人事管理の基本的な考え方から、今求められる戦略的人材マネジメントの方向性、そしてその実現を支援するシステムの活用方法までを解説します。

人事管理とは何か?

人事管理とは、企業が従業員を採用、配置、評価、、育成、報酬、退職に至るまで、一貫してマネジメントする仕組みのことです。英語では「HRM(Human Resource Management)」と呼ばれ、人材を“資源”ではなく“資本”としてとらえる「人的資本経営」の潮流とも密接に関わっています。

なかでも人事管理は、個人のスキルや経験、志向性をデータとして可視化し、最適な配置・育成・定着につなげるプロセスを指します。
属人的な判断や経験則に頼らず、組織として人材を戦略的に扱うことが目的となります。

人事管理が求められる背景とは

少子高齢化と労働力人口の減少

日本では少子高齢化が進行し、生産年齢人口(15~64歳)の減少が続いています。

スクリーンショット 2025-05-27 131134引用:厚生労働省 令和6年11月29日 第35回労働政策基本部会事務局提出資料

労働力が減るということは、企業にとって採用できる人材の選択肢が少ないことを意味します。
こうした中で求められるのは、既存人材をいかに活かすか、一人ひとりのスキル・経験・適性をどう引き出し、育てるかといった内部人材の活用力です。
これを実現するためには、個々の人材情報を的確に把握・管理し、戦略的に配置・育成する人事管理の仕組みが不可欠になります。

働き方の多様化とキャリア自律の進展

ジョブ型雇用、副業・兼業、テレワークなど、働き方は多様化しています。従業員一人ひとりの価値観やキャリア志向も大きく異なり、画一的な人材管理では対応しきれません。

従業員が自律的にキャリアを形成するためには、「自分がどんなスキルを持ち」「どんなキャリアパスがあるか」を可視化し、組織側もそれを正しく把握・支援できる仕組みが不可欠です。

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経営戦略と人材戦略の連動

企業が新たな事業を立ち上げたり、成長分野へシフトしたりする際、必要なスキルや経験を持つ人材をいかに確保・活用できるかが、成否を分ける鍵となります。

そのためには、現時点の人材の保有スキルや配置状況、将来の育成計画をデータで把握し、戦略的にマッチングする必要があります。これが「人的資本経営」の実践そのものです。

人事管理の主な機能とプロセス

以下は、人事管理における代表的な機能です。

機能 内容
従業員情報の管理 基本情報、職歴、スキル、資格、評価履歴など、従業員のプロファイルを一元的に管理。
スキル・資格の可視化 現在保有しているスキルや資格、研修受講歴などを記録し、キャリア形成やプロジェクト配置に活用。
異動・配置管理 組織変更・プロジェクトへのアサインなどの履歴を管理し、配置の妥当性や育成計画と連動。
評価・育成支援 人事評価の結果やフィードバック内容、今後の育成方針を一元管理し、継続的な成長を支援。
データ活用・分析 タレントデータを元に、将来の幹部候補選定や離職予兆の察知など、意思決定支援に活用。

これらをバラバラのシステムやExcelで運用していると、情報の分断・更新漏れ・属人化が発生し、適切な意思決定が困難になります。だからこそ、統合的な仕組みが必要となります。

人事管理をシステムで行うメリット

人事管理をシステムで行う主なメリットとしては、以下の3点が挙げられます。

1.人事情報の一元化

人事管理システムを導入すれば、従業員のプロフィール、保有スキル、評価履歴、異動履歴、勤怠・給与情報などを一元的に管理することが可能になります。
必要な情報に迅速にアクセスでき、データの正確性や更新スピードも飛躍的に向上します。

2.業務効率の向上

住所変更や研修申請、異動希望など、各種手続きをワークフローで処理できるため、申請〜承認までのプロセスもスムーズになり、ペーパーレス化と業務の見える化が進みます。

3.戦略的な人材活用

蓄積された人材データを分析することで、組織のスキルギャップの把握や幹部候補の抽出、離職リスクの予兆検知といった戦略的人事の実現にもつながります。

人事管理システム導入の注意点

人事管理システム導入には多くのメリットがある一方で、注意しなければならないリスクも生じます。
具体的に解説していきます。

1.導入コストとランニングコストの発生

人事管理システムは、初期導入にかかる費用だけでなく、月額利用料や保守費用、アップデート費用など、継続的なコストも必要になります。
また、社員や管理者が正しく使いこなせる状態まで運用を定着させるには、時間と教育が必要です。
マニュアル整備やトレーニング、利用ルールの明確化など、システムに合わせた社内体制の整備も欠かせません。

こうした運用定着までの時間と教育コストも念頭に置いておく必要があります。

2.自社の業務フローに合わないリスク

既存の人事管理システムは多機能である一方、自社の組織体制や業務フローにうまくフィットしないことがあります。
例えば、評価制度が複雑でシステムに反映できなかったり、既存のワークフローと二重管理になったりするケースです。

このような場合、カスタマイズ性のあるシステムを選ぶか、運用をシステムに合わせて変えていく覚悟が求められます。

3.情報漏えいなどのセキュリティリスク

人事管理システムには、氏名・住所・給与・評価・健康情報など、非常にセンシティブな個人情報が蓄積されます。
クラウド型システムを利用する場合には、サーバーのセキュリティ対策やアクセス権限の管理が徹底されているかを十分に確認する必要があります。
万一情報漏えいが発生すれば、企業の信頼は大きく損なわれます。

人事管理システムの費用相場

人事管理システムには主にクラウド型、オンプレミス型、パッケージ型の3種類があります。
それぞれの特徴と費用相場は以下の通りです。

種類 特徴 費用相場

クラウド型

初期費用が比較的低く、導入までの期間も短い。
ただし、ランニングコストはかかる。
初期費用:0~50万円程度。
月額費用:
・ユーザー単位課金:1ユーザーあたり月額300円~800円程度。
・契約単位課金:1契約あたり月額2,000円~7万円程度。

オンプレミス型

自社の業務に合わせたカスタマイズが可能。
ただし、初期投資が高額で導入までの期間も長くなる傾向がある。
初期費用:100万円程度。
月額費用:基本的には発生しないが、保守費用などが発生する場合もある。

パッケージ型

インストールで導入が比較的容易。
ただし、機能更新時等には自社でアップデートが必要になる場合もある。
初期費用:30~100万円程度。
月額費用:月1万~10万円程度(使用人数による)
その他、保守費用などが発生する場合もある。

 

人事管理の進め方:5つの手順

人事管理を進めるためには、以下のステップが必要となります。

STEP1:現状の課題と目的を明確にする

まず初めに、人事管理を強化するための課題と目的を整理していきましょう。
よくある課題としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 従業員情報が散在している
  • 適材適所の配置ができていない
  • 評価や育成が属人的になっている
  • 離職リスクを予測できない
  • 人材データを経営判断に活用できていない
これらの課題を明文化し、人事管理を通じてどのような状態を実現したいのかという目的を明確化していきます。

STEP2:管理する人事情報の項目を定義する

目的が定まったら、それを実現するために必要な情報(管理項目)を設計します。
一般的な人事管理項目は以下の通りです。

区分 管理項目例
基本情報 氏名、社員番号、所属、入社日、雇用形態
経歴 職歴、部署異動履歴、役職歴
スキル・資格 専門スキル、語学、保有資格、業務経験年数
評価情報 評価結果、フィードバック内容、目標設定・達成状況
育成 研修受講歴、キャリア希望、育成計画
稼働情報 勤怠、残業、プロジェクト参加歴

組織によって必要な管理区分や項目は異なります。
自社にとって必要な情報を絞り込み、後のデータ整備やシステム選定に活かせるよう設計していくことが重要です。

STEP3:システムやツールの導入

人事管理を持続的に行うためには、適切なシステムやツールの導入が欠かせません。
上述した特徴や費用相場等も参考にしながら、自社にとって最適なシステムを導入していくようにしましょう。

STEP4:情報収集とデータの整備

次に行うのは、既存の人材情報の収集と整備です。
これは非常に重要な手順で、次のような作業が含まれます。

  • 各部門が持つ人材データを集約
  • 表記ゆれや欠損データの修正
  • 社員へのアンケートや面談による情報のアップデート
整備されたデータがあって初めて、人事管理が実務レベルで機能します。

STEP5:活用と改善のサイクルを回す

システムやデータが整備されても、それを現場が使いこなせなければ意味がありません。
定着化のためには、利用目的とメリットの周知、現場主導の入力・更新ルールの整備、人事と経営層によるデータ活用のモデルケース創出などが必要となります。

また、一度構築した仕組みも定期的に運用状況を振り返り、仕組みやデータ項目の見直しを行いながら、PDCAを回していくようにしましょう。

まとめ | 人事管理は「仕組み×運用」の継続がカギ


人事管理は単なる“情報の保管”ではなく、組織の人材を見える化し、成長と最適活用を支える仕組みです。
そのためには、「なぜ」「何を」「どう使うか」を段階的に整理し、継続的な運用と改善を積み重ねることが求められます。

フォスターリンクが提供する『HR-Platform人材管理』は、人事情報を一元化し、自在に活用できるクラウドシステムです。
支援実績は20年以上。人事戦略の構築からシステムの導入支援まで一括で行っているため、御社の人事戦略を具体的に仕組み化し、運用までサポートすることが可能です。

人的資本経営や戦略人事を見据える企業にとって、整った人事管理体制はまさに組織力の基盤です。
導入・運用において課題がありましたら、まずはお気軽にご相談ください。

参考文献

  • 厚生労働省 令和6年11月29日 第35回労働政策基本部会事務局提出資料

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