給与振込手数料の負担が重いと感じている企業は多く、この支出を削減したいというニーズが高まっています。本記事では、給与振込について知っておくべき基礎知識と、給与振込手数料を削減する4つの方法を解説します。削減による具体的なメリットも紹介しますので、経費を減らしたいとお考えのご担当者はぜひ参考にしてください。
給与振込手数料の基礎知識
まずは、給与振込手数料について知っておくべき法律と、現状を把握しておきましょう。
振込手数料の現状
給与振込手数料を圧縮したいと考える企業が多いのは、従業員規模によっては高額になるためです。
法人口座の給与振込手数料は、330円が一般的。年間負担額は、従業員10名だと約4.62万円、200名だと約92.4万円にもなってしまいます。※給与12回、賞与2回、すべて他行あて振込の場合
振込手数料は単なるコストで、費やしたところで何を生み出すわけでもありません。できるだけ減らす方法を検討することが重要です。
給与振込手数料の負担に関する法律
振込手数料の負担をできるだけ抑えるために、従業員の給与から差し引きたいと考える企業もあるようです。しかし、振込手数料は会社負担が原則です。もし、従業員の給与から差し引いた場合、以下の理由から労働基準法違反となってしまいます。
“賃金については、労働基準法第24条において、通貨で、(2)直接労働者に、(3)全額を、(4)毎月1回以上、(5)一定の期日を定めて支払わなければならないと規定されています(賃金支払の五原則)”
引用:厚生労働省
このなかで、給与振込手数料にもっとも関わってくるのは「(3)全額を」の部分です。賃金から振込手数料を差し引くと、全額払いにならないため、労働基準法違反となる点を理解しておきましょう。
次章から、給与振込手数料を削減する具体的な方法を紹介していきます。
給与振込手数料を削減する4つの方法
給与振込手数料を削減するには、次の4つの方法が考えられます。
・振込口座を同一行同一支店に統一する
・インターネットバンキングで振り込む
・ネット銀行を利用する
・振込代行サービスを活用する
順番に解説していきます。
振込口座を同一行同一支店に統一する
給与振込手数料を抑えるもっとも簡単な方法は、自社のメインバンクの同一支店に、従業員の口座を開設してもらうことです。ほとんどの銀行は、同行内の振込手数料を割安にしていることが理由です。
ただし、そのためには従業員の協力が欠かせません。銀行を指定しての口座開設は強制できないため、従業員の理解と協力を得られなければ、実現は難しくなるでしょう。
インターネットバンキング・ファームバンキングで振り込む
自社のメインバンクが、オンライン上で振込できるインターネットバンキングのサービスを提供している場合、活用すると振込手数料を軽減できます。多くの金融機関は、人手を要する窓口での振込手数料よりも、インターネットバンキングでの振込手数料を低く設定しているためです。
とくに同行宛の振込は手数料をゼロにしているケースも少なくないため、従業員に同じ金融機関で口座開設してもらえるのであれば、手数料を削減しやすくなります。
ただし、一人ひとり振込手続きをする手間がかかりますし、銀行を指定しての口座開設が強制できない問題は残ります。
なお、インターネットバンキングと似たものに、ファームバンキングがあります。これは専用システムを使って銀行と通信し、振込などをおこなうサービスです。
ファームバンキングは、まとめて振込手続きをおこなえるので、件数の多い処理を扱う場合の手間は省けます。しかし、専用端末やソフトなどの環境を整える費用や利用料などのコストがかかります。
ネット銀行を利用する
給与振込手数料を削減する2つ目の方法は、ネット銀行の活用です。実店舗を持たないネット銀行は、振込手数料が割安なケースが多く、利用できれば手数料を大きく減らせる可能性があります。
ただし、自社がネット銀行を利用していなければ、口座を新たに開設する必要があります。
また、コストは抑えられたとしても、それぞれの口座へ振り込む手間は削減できません。さらに、ネット銀行はメガバンクと比較して、問い合わせなどのサポートが限定的であることや、セキュリティ対策の確認が必要になることも理解しておきましょう。
振込代行サービスを活用する
次に紹介する方法は、給与や取引先への振込業務をインターネット経由で代行してくれる、振込代行サービスの活用です。データをまとめて送信すると、各振込先への振込を代行してくれます。
まとめてデータを送信するという意味では、ファームバンキングと手間は変わらなく思えるかもしれません。しかしこのサービスは、銀行振込より手数料が大幅に安いことが最大のメリットです。例えばフォスターリンクの振込代行サービス「ウェブフリコム」なら、手数料は1件あたり262円。通常の330円よりも69円安くなり、大幅なコスト削減につながります。
200名規模の企業における削減効果例:
通常の給与振込:330円×14回(12ヶ月+賞与2回)×200名=92.4万円
フォスターリンクの振込代行サービス※:262円×14回(12ヶ月+賞与2回)×200名=73.36万円
年間約19万円のコスト削減になる
振込代行サービスは、他の方法と比べてコスト削減効果が高く、導入の手間も少ないため、経費負担の軽減を目指す多くの企業にとって、最適な選択肢となるでしょう。
振込手数料削減がもたらす企業メリット
振込手数料は、企業規模によっては少額に感じるかもしれませんが、長い目で見ればそれなりの金額になります。給与振込手数料を削減することによって、設備や社員教育など、企業の成長に直結するほかの分野に投資できます。
また、振込作業にかかる時間や手間もコストであり、積み重ねれば会社経営の負担であることに変わりありません。給与担当者が振込作業にかける時間と手間を少しでも短縮することで、コア業務により集中できる環境が整います。
給与振込についてよくある質問
給与振込について、よくある質問とその回答を紹介します。
Q1: 振込手数料を従業員に負担させることは可能ですか?
労働基準法では、賃金の全額を労働者に支払うことを義務付けています。振込手数料を従業員に負担させると、この「全額払いの原則」に抵触する可能性があるためできません。
Q2: 振込代行サービスは安全ですか?
安全性を担保するには、信頼できる振込代行サービスを選ぶことがなによりも重要です。例えば、フォスターリンクの振込代行サービス「ウェブフリコム」では、以下のような金融機関レベルのセキュリティ対策を実施しています。
- システムへの不正侵入に対して、ファイヤーウォールによる24時間監視
- お客様の送信されるデータを自動的に暗号化し、データの漏洩・盗聴・改ざんを防止(256ビットSSL)
- 「なりすまし」を防ぐため、すべての通信において発信元IPアドレスと使用ブラウザの組合せの変化を監視
- 複数のコードによる厳重な本人確認 など
サービスの選定時には、どのようなセキュリティ対策が取られているかを確認し、詳しく説明を聞きましょう。
Q3: 給与計算と振込代行を一括で依頼することはできますか?
給与計算から振込までをワンストップで委託すれば、さらなる業務効率化とコスト削減を実現できるのでおすすめです。
フォスターリンクが提供する給与計算代行サービスでは、振込代行サービスとの併用で、給与振込業務まで代行します。
給与計算業務を委託することについては、以下の記事でも詳しくまとめているので合わせてご参照ください。
【関連記事】:給与計算アウトソーシングのメリットや留意点などを詳しく解説
Q4: 給与以外の振込手数料も一緒に削減することはできますか?
フォスターリンクが提供する振込代行サービス「ウェブフリコム」では、給与振込だけではなく、総合振込手数料も削減することが可能です。
まとめ
給与振込手数料を抑える方法は主に4つあります。それぞれの特徴を理解して、最適なコスト削減を目指しましょう。
本記事でご紹介した振込代行サービスの活用は特におすすめです。給与計算と一緒に委託することで、より効果的なコスト削減が期待できます。
フォスターリンクでも、HR-Platform 給与計算代行とあわせ、振込代行サービス「ウェブフリコム」を提供しています。セキュリティレベルも非常に高く、安心してご利用いただけますので、まずはお気軽にお問い合わせください。