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7月 16, 2026
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【社労士解説】有給休暇5日義務で取得漏れを防ぐには?違反を防ぐ勤怠管理のポイント

【社労士解説】有給休暇5日義務で取得漏れを防ぐには?違反を防ぐ勤怠管理のポイント

有給休暇5日取得義務は、対象者や期限を正しく理解したうえで、取得状況を継続的に確認することが重要です。対象者や期限を誤ると、本人は有給を取得しているつもりでも、5日取得義務のカウントでは未達となることがあります。

この記事では、社労士として実務に関わる視点で、5日取得義務の基本から取得漏れを防ぐ勤怠管理の方法について詳しく解説します。

社労士執筆

フォスターリンク株式会社

2000年の創業以来、700社以上の人事支援を手がける人事のベストパートナー。社会保険労務士の資格を持つ担当者が在籍し、実務知見をもとに本記事を執筆しています。

有給休暇5日取得義務とは

有給休暇5日取得義務とは、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、会社が年5日を確実に取得させる制度です。2019年4月から、すべての企業に適用されています。

労働者が自分で取得した日数や、計画年休で取得した日数も5日に含められます。
すでに5日以上取得している労働者には、会社が時季指定をする必要はありません。

項目 内容
対象者 年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者
取得日数 年5日
期限 基準日から1年以内
罰則 対象労働者1人につき30万円以下の罰金リスク
保存書類 年次有給休暇管理簿

半休・時間休・特別休暇は5日取得義務に含められるか

5日取得義務では、休暇の種類を正しく分けて集計します。ここを誤ると、取得済みだと思っていた従業員が未達になることがあるため、注意が必要です。

取得形態 5日義務へのカウント
1日単位の年休 できる
労働者本人の請求による取得 できる
会社による時季指定 できる
計画年休 できる
半日単位の年休 0.5日としてできる
時間単位年休 できない
特別休暇 できない

特に注意すべきなのは、半休、時間休、特別休暇の3つです。
半休は0.5日として扱える一方で、時間単位年休や会社独自の特別休暇は、年5日の取得義務の日数には含めません。

有給休暇5日取得義務の対象者は誰か

対象者は、上述した通り、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者です。
正社員だけでなく、勤務条件によってはパート、アルバイト、派遣労働者、管理監督者、有期雇用労働者も対象になります。
以下に詳しく解説します。

正社員・フルタイム契約社員

フルタイムで働く正社員や契約社員は、多くの場合、入社から6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤すると10日の年次有給休暇が付与されます。この時点で、5日取得義務の対象になります。

パート・アルバイト・派遣労働者

パートやアルバイトも、所定労働日数に応じて有給休暇が比例付与されます。
付与日数が10日以上になる働き方なら、5日義務の対象です。

派遣労働者も、付与日数が10日以上なら対象になります。
実務上は雇用主である派遣元が管理しますが、対象から外れるわけではないため、注意が必要です。

管理監督者・有期雇用労働者

管理監督者も、年次有給休暇5日取得義務の対象に含まれます。
有期雇用労働者も、付与日数が10日以上なら同じです。

対象者を確認する際には、雇用区分や役職名だけで判断せず、付与日数をもとに確認するようにしましょう。

いつからいつまでに5日取得させる必要があるか

有給休暇5日取得義務の期限は、原則として基準日から1年以内です。
基準日とは、年次有給休暇を付与した日を指します。

たとえば10月1日に10日付与した労働者なら、翌年9月30日までに5日取得させる必要があります。
この義務は、基準日が来るたびに毎年発生します。

基準日が従業員ごとに違う場合

中途入社者が多い会社では、入社日や付与ルールの違いによって、基準日が従業員ごとに分かれることがあります。この場合、全社一律の年度や給与計算期間だけで管理すると、個人ごとの取得期限を見落としやすくなります。

実務上は、従業員ごとの基準日、5日取得の期限、取得済み日数を一覧で確認できる状態にしておくことが重要です。
特に、入社月が分散している会社や、パート・アルバイトの比例付与を管理している会社では、対象者ごとに期限を追える運用になっているかを確認しておきましょう。

基準日を統一している場合

基準日を全社で統一している場合は、確認時期をそろえやすく、未取得者の抽出や取得の推進を行いやすくなります。
一方で、入社初年度の前倒し付与や、法定より早く付与している場合の扱いには注意が必要です。

たとえば、就業規則では一斉付与としている一方で、実際の運用では入社日に応じて個別に付与している場合、管理上の基準日と実態がずれることがあります。
基準日を統一している会社では、就業規則の定め、実際の付与日、勤怠システム上の設定が一致しているかを確認しておくことが重要です。

会社による時季指定の進め方

時季指定とは、労働者が自ら5日分の年次有給休暇を取得していない場合に、会社が取得時季を指定して有給休暇を取得させる手続きです。

会社が時季指定をする場合、労働者の意見を聴く必要があります。さらに、できる限り本人の希望に沿うよう努めます。

実務では、面談、メール、申請システムなどで取得希望を確認します。
この際には、後から確認できるよう、やり取りを記録に残すことが大切です。

有給休暇5日取得義務に違反した場合の罰則とリスク

年5日の有給休暇を取得させなかった場合、会社には罰則のリスクが生じます。厚生労働省の資料では、対象となる労働者1人につき1罪として扱われる旨が示されています。

罰則は、労働基準法第120条に基づく30万円以下の罰金です。
実務上は、罰金の有無だけでなく、労務管理体制の不備として是正対応が必要になる点もしっかり見ていく必要があります。

例えば、以下のような不備がないかをチェックしていきます。

  • 対象者に年5日の有給休暇を取得させていない
  • 対象者の判定を誤り、パートや管理監督者を除外している
  • 基準日から1年以内という期限を過ぎている
  • 時間単位年休を5日取得義務の日数に含めている
  • 特別休暇を年次有給休暇として扱っている
  • 年次有給休暇管理簿を作成・保存できていない

法令違反の有無を判断するときは、個別の事情も関係してきます。
未取得者が出た場合は、社内だけで判断せず、必要に応じて社労士など専門家に確認していくことが重要です。

取得できなかった場合に確認すること

5日取得できなかった可能性がある場合、最初に見るべきなのは、対象者、基準日、取得実績、取得形態です。
慌てて取得日を追加するのではなく、事実関係を分けて確認することが大切です。

確認項目 見る内容 注意点
対象者 年10日以上の有給休暇が付与される労働者か 雇用区分だけで判断しない
基準日 いつから1年以内に取得させる必要があるか 中途入社者は期限がずれやすいため注意
取得実績 1日単位・半日単位で何日取得したか 勤怠締め後の実績で確認する
取得形態 時間単位年休や特別休暇を含めていないか 5日義務に含められる休暇だけで集計する

未取得が判明した場合は、個別対応と再発防止を分けて考えます。
対象者が複数いる場合は、同じ集計ミスが他の従業員にも起きていないか確認するようにしましょう。

有給管理簿の作り方と保存

年次有給休暇管理簿は、年次有給休暇の取得状況を労働者ごとに記録する資料です。
厚生労働省は、基準日、取得時季、取得日数を明らかにし、3年間保存することを推奨しています。

ただ、管理簿は、専用の様式でなければならないわけではありません。労働者名簿や賃金台帳とあわせて作成することもできます。

年次有給休暇管理簿に記載する主な項目

記載すべき主な項目は、以下の3点です。

  • 労働者ごとの基準日
  • 年次有給休暇を取得した時季
  • 取得した日数

実務では、これに加えて付与日数、残日数、半休の取得状況、時間単位年休の取得状況も確認できると管理しやすくなります。

有給休暇5日取得漏れを防ぐ勤怠管理の進め方

取得漏れを防ぐには、対象者、基準日、取得日数、休暇区分を継続的に確認できる状態にしておく必要があります。
Excelでも管理できますが、従業員数や雇用区分が増えると、基準日の見落としや集計ミスが起こりやすくなります。

勤怠管理システムを活用する場合は、休暇区分や集計ルールが自社の就業規則と合っているかを確認することが重要です。
システムを入れるだけではなく、自社の休暇ルールに沿って設定されているかをチェックしていきます。

取得漏れが起きやすい管理パターン

制度の要件自体は厚生労働省の資料で明確になっていますが、実際にご相談を受ける中では、次のような管理体制で取得漏れが起きやすくなっています。

 ✔ 基準日が従業員ごとに異なる
 ✔ パート・アルバイトの比例付与を手作業で管理している
 ✔ 半休と時間単位年休を同じ表で集計している
 ✔ 有給管理簿と勤怠実績を別々に管理している
 ✔ 上長が部下の取得状況を確認できない
 ✔ 期限1か月前まで未取得者を抽出していない

このような状態がある場合は、制度説明を見直すだけでは不十分です。
誰が、いつ、どの数字を見るかまで運用に落として設計していく必要があります。

勤怠管理システムで確認すべき設定項目

勤怠管理システムを使う場合も、初期設定が自社の就業規則と合っていなければ、正しい集計にはなりません。
特に、休暇区分集計ルールは必ず確認するようにしましょう。

確認項目 見るポイント
休暇区分 年休、半休、時間単位年休、特別休暇が分かれているか
付与ルール 入社日、勤続年数、所定労働日数に合っているか
基準日管理 個別基準日、統一基準日の運用に対応できているか
集計ルール 5日義務に含める休暇だけを集計できるか
アラート・抽出 未取得者を期限前に確認できるか
管理簿出力 基準日、取得時季、取得日数を確認できるか

勤怠システムの休暇管理設定を見直したい方へ
KING OF TIMEやジョブカンの休暇区分・集計ルールが、自社の就業規則と合っているか確認したい場合は、フォスターリンクの導入支援・設定代行をぜひご活用ください。

取得状況を確認する基本ステップ

ここからは、取得漏れを防ぐために日常的に確認したい流れを整理します。

Step1:対象者を定期的に確認する

年10日以上の有給休暇が付与される従業員を確認します。
入社、雇用区分変更、所定労働日数の変更がある会社では、対象者も変わるため、定期的な確認が必要となります。

Step2:取得日数と残日数を見る

5日取得義務では、残日数だけでなく、基準日から1年以内に何日取得したかを確認します。
残日数が少なくても、対象期間内の取得日数が足りない場合があります。

Step3:未取得者を上長と共有する

未取得者が見つかったら、上長と取得予定を確認します。
実際の取得日は、本人の希望だけでなく、業務量やチーム体制とも合わせて検討していく必要があります。

Step4:勤怠締め後に実績を確定する

申請や予定だけでは、取得実績は確定しません。
勤怠締め後に、取得日数が年次有給休暇管理簿へ反映されているかを確認します。

取得漏れを防ぐ年間チェックリスト

有給休暇5日取得義務の管理は煩雑になりがちですが、人事・労務の年間スケジュールにあらかじめ組み込んでおくと管理しやすくなります。
はじめに、基準日から逆算して、確認時期を決めておきます。

付与月

対象者、基準日、付与日数を確認し、10日以上付与される従業員を確定する

3か月後

取得0日の従業員を確認し、取得予定を確認し始める

6か月後

取得が進んでいない従業員を確認し、上長と下半期の取得計画を調整する

9か月後

5日未満の従業員を確認し、時季指定の要否を判断する

期限1か月前

未達見込み者を確認し、取得日を具体的に確定する

取得後

取得実績と管理簿を確認し、保存資料として整える


Excel管理の注意点

年次有給休暇管理簿をExcelで作成し、労務管理に使っている企業もあります。
たしかに、従業員数が少なく、基準日や勤務形態がシンプルな場合は、Excelでも管理しやすい面があります。

ただし、従業員数が増えるほど、入力漏れや集計ミスが起きやすくなります。特に、基準日が従業員ごとに違う会社では注意が必要です。
実務では、勤怠実績と管理簿の数字がずれる、退職予定者や途中入社者の確認が後回しになるなどのトラブルも起きがちです。

もしExcelを使う場合は、入力者、更新日、確認者を決めておくなど、ファイルを作るだけでなく、毎月確認する運用まで決めておくことが大切です。

有給休暇5日義務の取得漏れを防ぐために

繰り返しとなりますが、有給休暇5日取得義務は、対象者、基準日、取得日数、休暇区分を正しく管理することが重要です。

時間単位年休や特別休暇を5日に含める、基準日を見落とす、年次有給休暇管理簿を保存できていないといったミスは、取得漏れや罰則リスクにつながります。

Excelで管理する場合も、勤怠管理システムを使う場合も、自社の就業規則に合った集計ルールになっているかを確認しましょう。KING OF TIMEやジョブカンの休暇管理を自社ルールに合わせて整えたい場合は、弊社の設定代行・運用支援も活用できます。

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有給休暇5日義務の運用は、勤怠管理システムの選び方と休暇制度の整備もあわせて確認しておくと、取得漏れ防止につながります。


よくある質問

繰越分の有給を取った場合も5日義務の日数に含められますか?

含められます。5日義務では、基準日から1年以内に取得した年次有給休暇の日数を見ます。

実務では、当年度付与分か繰越分かよりも、対象期間内に実際に取得したかを確認します。

退職予定者が5日取得できていない場合はどう対応すべきですか?

まず、退職日までに取得できる日数と業務引き継ぎの状況を確認します。退職予定が分かった時点で、取得状況もあわせて確認するのが安全です。

個別事情が複雑な場合は、社労士など専門家への相談もご検討ください。

年度途中で所定労働日数が変わった場合、対象者判定はどう確認しますか?

勤務条件の変更日、変更後の所定労働日数、付与日数を確認します。短時間勤務への変更やフルタイム化がある会社では、対象者の見直しが必要です。

会社が時季指定をする場合、従業員の希望はどこまで聞く必要がありますか?

会社は、時季指定にあたって労働者の意見を聴く必要があります。さらに、できる限り労働者の希望に沿うよう努める必要があります。

希望どおりの日に必ず取得させるという意味ではありません。ただし、会社都合だけで一方的に決める運用は避けます。

参考資料

お役立ち資料

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