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7月 27, 2026
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物流2026年・2030年問題に企業はどう備える?荷主の義務・輸送力不足と勤怠管理

物流2026年・2030年問題に企業はどう備える?荷主の義務・輸送力不足と勤怠管理アイキャッチ

物流2026年問題では、一定規模以上の荷主・物流事業者に中長期計画や定期報告などが求められます。さらに2030年に向けては、ドライバー不足や現場の非効率による輸送力不足への対応も欠かせません。

勤怠管理や労務改善の支援に携わっていると、物流業界でも、法令に沿って労働時間を管理するだけでは対応しきれない段階に入りつつあると感じます。それは、人手不足やコスト上昇が進むなか、限られた人員と時間をどう輸送力につなげるかが重要になるためです。

本記事では、物流業界における2026年・2030年両問題の違いと、企業に求められる対応、今後の勤怠管理のあり方を実務に携わる視点で解説します。 

フォスターリンク株式会社

2000年の創業以来、700社以上の人事支援を手がける人事のベストパートナー。社会保険労務士の資格を持つ担当者が在籍し、勤怠管理・KING OF TIME運用支援の実務知見をもとに本記事を監修・執筆しています。

 

物流2026年問題と2030年問題の違い

物流2026年問題と2030年問題は、いずれも物流の持続性に関わる課題ですが、問題の中心や企業に求められる対応は異なります。まずは、それぞれの違いを整理しておきましょう。 

項目 物流2026年問題 物流2030年問題
問題の中心 法改正に伴う義務と管理体制の整備 人手不足と輸送力不足
主な対象 荷主、連鎖化事業者、運送事業者、倉庫業者 荷主・物流事業者を含むサプライチェーン全体
企業への影響 計画、報告、CLO選任、時間把握 配送条件の変更、物流コスト上昇、供給制約
必要な対応 対象判定、現状把握、改善体制の整備 省人化、物流効率化、取引条件の見直し

 2026年問題は、法改正に伴う義務や管理体制の整備が中心です。一方で2030年問題は、人手不足や現場の非効率による輸送力不足への備えが中心になります。
企業には、まず2026年の制度対応を進め、その先の輸送力確保まで見据えて取り組むことが求められます。 

物流2026年問題とは

物流2026年問題とは、2026年4月に物流効率化法の義務的措置が始まり、一定規模以上の荷主や物流事業者に新たな対応が求められるようになったことを指す通称です。

2024年問題の中心がトラックドライバーの長時間労働規制だったのに対し、2026年問題では、物流事業者だけでなく荷主も物流改善の当事者として関わる点が重要です。

自社が特定事業者に該当するか確認する

特定事業者の指定基準は、事業者区分によって異なります。前年度の実績が基準以上なら、自社から事業所管省庁へ届け出る必要があります。

事業者区分 主な指定基準
特定第一種荷主・特定第二種荷主 年間取扱貨物重量9万トン以上
特定連鎖化事業者 年間取扱貨物重量9万トン以上
特定貨物自動車運送事業者等 保有車両150台以上
特定倉庫業者 年間保管量70万トン以上

荷主の基準は、個別の工場や店舗ではなく、原則として事業者全体の前年度実績で判定します。重量の算定方法は荷主区分により異なるため、国土交通省の手引きで確認してください。

参考:国土交通省「物流効率化法について」

努力義務と特定事業者の義務を分けて理解する

対象 主な対応
すべての荷主・物流事業者 判断基準に沿った物流効率化への取り組み。発荷主だけでなく着荷主も対象
特定事業者 中長期計画の作成・提出、取り組み状況の定期報告
特定荷主・特定連鎖化事業者 上記に加えて物流統括管理者(CLO)の選任・届出

定期報告では、判断基準の遵守状況や関係事業者との連携状況を報告します。荷主や倉庫業者は、荷待ち時間などの状況も報告対象です。計画の提出だけでなく、現場の時間を測り、改善結果を追える状態にする必要があります。

特定事業者に指定されない企業にも影響は及びます。取引先から荷待ち時間の削減、納品条件の見直し、予約受付システムの利用を求められる可能性があるためです。

物流2030年問題とは

物流2030年問題とは、ドライバー不足と物流現場の非効率が重なり、2030年度に必要な輸送力を確保できなくなる懸念を指します。

輸送力不足が起きる主な理由

  • ドライバーの高齢化と退職
  • 若年層を中心とした採用難
  • 労働時間規制による一人当たり輸送量の減少
  • 荷待ち・荷役など、運転以外に費やす時間の残存
  • 小口・多頻度配送の増加と積載効率の低下
  • 地方・過疎地域における配送網の維持

人数だけを増やせば解決する問題ではありません。荷待ちや低い積載率が残ったままでは、新たに人材を確保しても輸送力の改善につながりにくいためです。

これまで、対策を講じなければ2030年度に約34%の輸送力が不足するという試算が広く紹介されてきました。ところが、国土交通省が2026年に公表した資料では、2024年問題への官民の取り組みや輸送需要の変化を踏まえ、見通しが再検証されています。

スクリーンショット (440)引用:国土交通省「2030年度に想定される輸送力不足への対応方針」

最新の試算では、2030年度の輸送力不足は約7%から最大約25%です。必要な輸送量を2024年並みと見るケースでは約15%、輸送需要が低いケースでは約7%、2019年並みの高い需要を想定すると最大約25%になります。

従来の約34%という試算が単純に誤りだったわけではありません。今回の試算は、足元の輸送需要や対策の進捗を踏まえて前提を更新したものです。それでも最大で貨物7.2億トン分が不足する可能性があり、輸送力の確保は引き続き経営課題と言えます。

参考:国土交通省「2030年度に想定される輸送力不足への対応方針」

政府が2030年度までに進める物流改革

政府は「2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会」で今後の施策を議論し、「総合物流施策大綱(2026年度~2030年度)」を策定しました。2030年度までを物流革新の集中改革期間としています。

大綱が示す主な方向は次のとおりです。

  • 荷待ち・荷役時間の短縮や積載効率の向上
  • 契約条件、運賃、付帯作業など商慣行の見直し
  • 物流人材の確保と職場環境の改善
  • 物流DX、データ連携、機器や帳票の標準化
  • モーダルシフトや共同配送によるサプライチェーンの強化

参考:国土交通省「総合物流施策大綱(2026年度~2030年度)」

企業にも、輸送量や労働時間の把握だけでなく、取引条件や輸送方法を含む見直しが求められます。

2024年から2030年にかけて企業に求められる対応

2024年、2026年、2030年では、企業に求められる対応が異なります。時系列で整理すると、規制対応から物流全体の構造改革へ課題が広がっていることが分かります。

規制対応から、物流全体の構造改革へ

2024年|長時間労働を前提とした運用を見直す

時間外労働の上限規制、改善基準告示の改正

2026年|物流にかかる時間を測り、改善を報告する

物流効率化法、CLO、中長期計画、定期報告

2030年|限られた人員で輸送力を維持する

省人化、物流効率化、取引条件の見直し

2024年には、長時間労働を前提とした働き方の見直しが必要になりました。
2026年には、荷待ち・荷役を含む物流時間の把握と改善体制の整備が求められます。2030年に向けては、限られた人員と輸送手段をどこへ配分するかが経営課題になります。

物流2026年・2030年問題が企業に及ぼす影響

影響は運送会社だけにとどまりません。製造業、小売業、卸売業などの荷主企業も、配送条件や物流コストを見直す必要があります。

  • 輸送コスト:人件費、燃料費、設備投資の増加が運賃へ反映される
  • 配送条件:納品回数、リードタイム、時間指定の維持が難しくなる
  • 供給体制:ドライバーや車両を確保できず、繁忙期や地方配送に制約が出る
  • 社内体制:物流部門だけでなく、営業、調達、生産部門を含む調整が必要になる
  • 取引関係:荷待ち、付帯作業、契約、運賃を荷主と物流事業者が協議する場面が増える

これまでと同じ納品条件やサービス水準を前提にすると、輸送を引き受けてもらえない、またはコストが大きく上がる可能性があります。物流を委託先だけの問題にせず、経営や事業継続の課題として扱う必要があります。

荷主・物流事業者が今から取り組むべき対策

物流2026年・2030年問題への対応は、荷主企業と物流事業者のどちらか一方だけでは進みません。それぞれが自社の運用を見直し、必要な情報を共有しながら改善することが重要です。

荷主企業が取り組むこと

荷主企業では、出荷・納品条件、発注ロット、リードタイムを見直し、物流現場に過度な負担がかかっていないかを確認します。荷待ち・荷役時間も把握し、予約受付や入出荷手順の改善につなげます。

特定荷主に該当する場合は、物流統括管理者(CLO)を中心に、計画作成や定期報告を継続できる体制を整えます。

運送・物流事業者が取り組むこと

運送・物流事業者では、配車、配送ルート、積載率を見直し、限られた車両と人員を効率的に活用します。荷待ち・荷役・拘束時間を記録し、長時間化の原因を把握することも重要です。

必要に応じて、共同配送や中継輸送、モーダルシフトを検討し、処遇改善や休息確保を含む人材定着策も進めます。

荷主と物流事業者が共同で取り組むこと

双方で、運送契約、運賃、付帯作業の範囲を明確にし、バース予約や入出荷データを共有します。パレットや伝票などの標準化も、作業負担の削減に有効です。

さらに、荷待ち時間、積載率、輸送量などの共通指標を決め、改善前後の変化を確認します。一社だけでなく、発注から荷受けまでを通じて条件を調整することが、輸送力の維持につながります。

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これから勤怠管理に求められる役割が広がる理由

物流2026年・2030年問題への対応では、労働時間を法令の範囲に収めるだけでは足りません。限られた人員と時間をどの業務に使い、どれだけの輸送力につなげているかまで把握する必要があると考えています。

企業が管理すべき範囲とコストが広がる

労働者を守る制度が整う一方、企業には、適正な賃金支払い、過重労働の防止、休息の確保を日々の運用に落とし込むことが求められます。人手不足で増員や処遇改善のコストも高まるなか、「何時間働いたか」だけでなく、「その時間を何に使ったか」を確認する必要性が増しています。

勤怠管理に求められる役割が広がる背景

労働者保護・法令対応の強化
残業上限、適正な割増賃金、休息確保

人員・管理コストの増加
採用難、処遇改善、日々の確認業務

労働時間の「量」だけでは判断できない
何時間働いたかに加え、何に時間を使ったかを把握

業務データを組み合わせて原因を確認
運転、荷待ち、荷役、事務、付帯作業

配車・人員配置・取引条件を改善


労働時間の「中身」を把握する

法令上の保存や報告に必要な項目だけでなく、配送先別の拘束時間、拠点別の残業、荷待ち、付帯作業、応援勤務、積載率などを集める企業が増えると考えられます。
目的は従業員を細かく監視することではありません。業務の偏りを見つけ、配車や人員配置、荷主との取引条件を見直すことが求められます。

総労働時間だけでは、改善すべき原因は見えない

企業A|運転6時間・荷待ち2時間・荷役1時間・事務1時間

改善点:荷待ち時間の削減

企業B|運転4時間・荷待ち1時間・荷役3時間・事務2時間

改善点:荷役方法・付帯作業の見直し

運転  荷待ち  荷役  事務 ※時間配分は説明のための例です。


システムとAIを改善に生かす

勤怠システムの役割も変わると考えています。最近では従来の集計や給与計算に加え、工数や業務量を分析する機能が使われるようになっています。
配車・運行管理、GPS、バース予約などのデータを連携できれば、残業が発生した事実だけでなく、その原因も追いやすくなります。AIは、複数のデータから負荷の偏りや異常値を探す場面で、管理者を補助するツールとして更に活用されていくことが考えられます。

収集したデータを業務改善に活用できれば、制度対応に伴う管理業務の増加を抑えられます。一方、運用を見直さずに新たな確認や集計作業だけを追加すると、管理者や現場の負担が増えていきます。
見直しを先送りすれば、集計作業だけが増え、割増賃金の計算誤りや未払い賃金の兆候を把握しても対応が遅れる可能性も生じます。

これからの勤怠管理には、法令対応に必要な記録に加え、限られた人員や時間をどのように活用するかを考えるための情報としての役割も期待されます。


物流現場の労務・勤怠管理で確認すべきこと

ここからは、こうしたデータ活用の土台として、物流現場の労務・勤怠管理で具体的に確認したい項目を整理します。

労働時間と休憩時間を日次で確認する

適正な賃金を支払うには、始業・終業時刻だけでなく、時間外労働、深夜労働、休日労働を正しく区分し、どの日が法定休日に当たるかを判定できる運用が必要です。物流現場では、日をまたぐ勤務や直行直帰も多いため、制度とシステム設定が合っていないと集計の誤りにつながります。

また、過重労働を防ぐには、月末の集計では遅すぎる可能性もあります。
日次・週次で残業上限と休息期間を確認し、必要なら配車やシフトを変更します。勤務間インターバル制度は現時点では努力義務ですが、終業から次の始業までに休息を取れているかは確認しておくべき項目です。

労働時間を分類する

勤怠システムで総労働時間を把握し、配車・運行管理、バース予約、GPSなどのデータと組み合わせます。運転、荷待ち、荷役、事務作業に使った時間を分けると、改善対象を特定しやすくなります。

ここを分けずに管理すると、残業時間が発生している原因がわからない状態が続くことにもなり得ます。

拠点・ルート・取引先別に負荷を確認する

例えば、毎週同じ曜日に残業が増える拠点、特定の配送先で長くなる拘束時間、常態化した応援勤務を捉えれば、人員配置や配車の見直し、取引先との条件調整につなげられます。勤怠データが、業務設計を見直す入口になります。

ただし、データ収集が従業員の監視にならないよう注意が必要です。収集する目的と利用範囲を明確にし、労働時間の長短だけで個人の成果を判断しない運用が欠かせません。

システムごとの役割を決める

勤怠システムだけですべてを管理するのは現実的ではありません。各システムで扱う情報を整理し、必要に応じて組み合わせることが重要です。

  • 勤怠管理システム: 労働時間、残業、休日・深夜労働を管理する
  • 配車・運行管理システム: 配車計画、配送ルート、運行実績を管理する
  • デジタルタコグラフ・GPS: 走行時間、停車時間、車両の位置を記録する
  • バース予約システム: 入退場時刻や荷待ち時間を把握する

どのデータをどこで確定し、誰が判断に使うのかを決めることで、重複入力や手作業による集計を減らすことにもつながります。

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勤怠管理システムを見直す場合は、機能だけでなく、自社の勤務形態、給与連携、導入後の運用まで含めた判断が必要です。


物流問題を、法令対応だけで終わらせないために

物流2026年問題では、特定事業者に計画・報告などの義務が生じます。2030年に向けては、荷主と物流事業者が取引条件や輸送方法を見直し、限られた人員で輸送力を維持する必要があります。

対策の中心は、荷待ち・荷役時間の削減、積載率の向上、共同配送、契約や納品条件の見直しです。その実行状況を確かめるには、労働時間と業務時間を正確に把握できる管理体制も欠かせません。

勤怠管理のどこに問題があるか分からない場合は、法令・規定・システム設定・運用方法を分けて確認すると、改善の優先順位を決めやすくなります。

勤怠管理の課題を整理し、改善の優先順位を決める

法令・規定・システム設定・運用方法のずれを確認し、自社が先に見直すべき課題を整理します。

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出典

  • 国土交通省「物流効率化法について」

https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/seisakutokatsu_freight_mn1_000034.html

  • 国土交通省「物流効率化法」理解促進ポータルサイト「特定事業者の指定」

https://www.revised-logistics-act-portal.mlit.go.jp/designation/

  • 国土交通省「物流効率化法」理解促進ポータルサイト「定期報告」

https://www.revised-logistics-act-portal.mlit.go.jp/regular-report/

  • 国土交通省「総合物流施策大綱(2026年度~2030年度)」

https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/butsuryu03100.html

  • 国土交通省「2030年度に想定される輸送力不足への対応方針」

https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001984794.pdf

  • 厚生労働省「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」

https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/

  • 厚生労働省「労働時間等の設定の改善」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/index.html

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