企業における「人事考課」は、従業員の評価を通じて組織のパフォーマンスを最大化するための極めて重要な制度です。しかし、その目的や基準、運用方法を十分に理解しないまま形骸化してしまっている企業も少なくありません。
この記事では、無料でダウンロードできる人事考課表のサンプルを紹介するとともに、評価基準の作り方や注意点を専門的な観点から解説します。
自社の制度設計や見直しにぜひお役立てください。
▼今すぐフォスターリンクの人事考課表サンプルを確認したい方はこちら。1、人事考課とは何か?
人事考課とは、従業員の能力、成果、態度などを一定の基準に基づいて評価し、人材の育成や処遇に活かす仕組みです。
評価の結果は、昇給・昇進・賞与などの処遇だけでなく、能力開発や配置転換の判断材料にもなります。
2、人事考課と人事評価の違いとは?
人事考課と人事評価は、どちらも従業員の評価を指します。
人事考課は社員を査定する行為やプロセスそのものを指します。一方、人事評価はより広義で、人事考課を基にした評価制度全体を指します。
両者を区別せずに使用している場合もありますが、制度設計やコンサルティングの文脈では、上記のように「査定プロセス」と「評価制度全体」を分けて扱うことが一般的です。
3、人事考課の3つの区分
人事考課は、評価の対象や目的に応じていくつかの種類に分類されます。一般的な区分は以下の通りです。
3-1、業績考課(成果評価)
従業員が一定期間内にどの程度の成果を上げたかを評価します。
売上や目標達成率などの定量指標が用いられることが多く、成果主義と密接に関係します。
3-2、能力考課(スキル評価)
業務遂行に必要な知識・技術・判断力など、個人の業務遂行能力を評価します。
特にポテンシャル型の人材育成や昇格審査で重視されます。
3-3、情意考課(態度評価)
職務に対する姿勢や責任感、協調性など、仕事への取り組み姿勢を評価します。
目に見えにくいが組織にとって不可欠な「行動の質」に着目します。
4、【無料DL】人事考課表サンプルのご紹介
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5、人事考課の評価基準設定方法
人事考課の評価基準を決める際には、組織の戦略や人事制度との整合性を考慮しながら、業務成果・能力・態度といった複数の視点から総合的に評価できるようにする必要があります。
以下に、評価基準を決定するための具体的なステップを説明します。
STEP1:評価制度の目的を明確化する
- なぜ評価するのか?
昇給・賞与の決定、人材育成、配置転換の判断、組織の目標達成度の確認など、評価の目的を明確にします。
- 経営戦略とのリンク
経営理念や中期経営計画と結び付いた評価基準にすることで、組織全体の方向性を社員に共有できます。
STEP2:評価区分を決定する
評価項目は前述した通り、以下の3つの観点に分類するのが一般的です。
- 業績考課(成果評価)
- 能力考課(スキル評価)
- 情意考課(態度評価)
STEP3:職種・等級別に必要なコンピテンシーを洗い出す
- 職種ごとの期待役割を明確化
営業、企画、エンジニア、バックオフィスなど、それぞれの職種に必要な能力や行動特性を定義します。
- 等級ごとの差異化
役職やグレードによって求められるリーダーシップ、判断力、戦略性などを具体的に定義します。
STEP4:評価項目をリスト化し、優先順位をつける
次に、業務内容に直結する項目を優先的に設定していきます。
項目数は 多すぎると評価の精度や運用が低下するため、5~10項目程度 を目安にしていきましょう。
STEP5:評価基準を具体化する
各項目に対して 1~5段階 などの評価スケールを設定します。
その際、それぞれの評価基準についても明文化しておきましょう。
STEP6:最終決定とガイドライン整備を行う
上司、経営層、人事部などのレビューを経て、最終的な評価項目を確定します。
この際、小規模でテストを行い、項目のわかりやすさや評価の難易度を検証していくとよりその後がスムーズに進みます。
確定したら、マニュアル作成や評価者のトレーニングを行い、評価のバラつきを防止していくことも重要となります。
6、人事考課によくある課題と解決策
6-1、評価者の主観によるバラつき
評価者の価値観・性格・経験の違いによって、同じ評価基準を用いても結果に大きなバラつきが生じてしまうことがあります。
特に好き嫌いや印象による評価が入り込むと、社員の納得感を損ないます。
【解決策】
- 評価者研修の実施
評価基準の理解と運用ルールを共有し、ケーススタディを通じて実践的な評価力を養います。
- 複数人による評価(多面評価)の導入
直属上司だけでなく、他の上司や同僚などの意見も取り入れて偏りを抑えていくという方法もあります。
- 評価結果の差異分析
評価のバラつきをデータで可視化し、極端な評価傾向を持つ評価者にフィードバックを行う。
6-2、評価基準が曖昧・抽象的
人事考課にはリーダーシップや責任感などの抽象的な項目も多く、評価者によって解釈が異なります。
従業員にとっても、どのような行動が高評価につながるのか分かりづらい面があります。
【解決策】
- 評価基準の定義を具体化
例えば「責任感」なら、期限内に業務を完遂する、トラブル時に先頭に立って対応するなど具体的な行動例を明示するようにしましょう。
- 評価シートに記述欄を設ける
評価理由の記述を義務付けることで、評価基準に対する意識を高めていくこともできます。
- 等級や職種に応じたカスタマイズ
一律の評価項目ではなく、職種ごとに求められる能力や成果に応じた基準を設計します。
6-3、評価と報酬が結びつかないため納得感がない
高評価を得ても昇給や賞与に反映されない場合、従業員のモチベーション低下や不信感につながりがちです。
【解決策】
- 評価結果と報酬体系の連動設計
評価のランクごとに、昇給率や賞与テーブルを事前に明示し、透明性を高めていきます。
- 評価フィードバック面談の充実
評価結果の背景や処遇への反映状況を丁寧に説明することで納得度を高めることも可能となります。
- 報酬以外のインセンティブの併用
昇進機会やプロジェクトアサインなど、非金銭的な処遇ともリンクさせていく設計も有効な手段となります。
7、まとめ | 人事考課は成長と信頼の基盤
人事考課は評価制度と密接に関連しており、社員のやる気を引き出し、組織としての一体感を醸成するための基盤です。評価される側の納得感はもちろん、評価する側の覚悟と責任も問われる制度です。
だからこそ、評価基準の明確化、運用プロセスの整備など多面的なアプローチが求められます。
私たちフォスターリンクは、貴社の状況に応じた具体的なアドバイスを、専門家が丁寧にご提案いたします。
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