株式会社 mediba 様の導入事例

360 度評価を通じて、自律型組織づくりを目指す

 

ご利用サービス:360度評価

 

mediba様

 

KDDI グループの株式会社 mediba では、 社内カンパニー seasorize で 360 度フィードバックを実施しました。 社内カンパニー化に伴い、 人材登用 ・ 再配置の参考にすることと、 組織の中核となる管理職の育成につなげることがねらいです。
360 度フィードバックを実施して、 管理職の意識付けに思った以上の効果を実感しており、 360 度フィードバックで得られた“気づき” を起点に人材育成の PDCA を回し、 「主体的に考えて行動する人材」 を育てたいとしています。
 ここでは、 seasorize カンパニーの副カンパニー長である鑓分行輝(やりわけ ・ ゆきてる)氏に、同社の 360 度フィードバックをサポートしたフォスターリンク ( 株 ) のコンサルタントの 菅野が、 お話をうかがいました。

人材登用 ・ 再配置の参考に360 度フィードバックを実施

 

菅野:本日はよろしくお願いします。 最初に、 貴社の概要からお話しいただけますか?

 

鑓分:株式会社 mediba は、KDDI グループの一員として 2000年に創業しました。「au スマートパス」「au Web ポータル」を始めとするモバイルメディアの企画・開発・運用と広告事業などを展開しています。
 今回、 360 度フィードバックを実施した沖縄の seasorize カンパニーは、 2011 年に mediba の沖縄支店として発足、 2016 年 11 月から社内カンパニーとして独立採算的に運営するような形になりました。


菅野:その seasorize カンパニーで 360 度フィードバックを実施された目的は、 どういうものだったのか、改めてお聞かせください。

 

鑓分:360 度フィードバックは、 まず mediba 本社で検討を始めたもので、 ゆくゆくは seasorizeカンパニーでも実施したいと思っていました。 そうした中、 社内カンパニー化した seasorize では、 適材適所の人材登用 ・ 再配置と管理職の育成は急務であったことから、 本社側での実施を待たずに先行実施することとしました。 seasorize カンパニーでの取り組みをパイロット的なものと位置づけ、そこで得られた知見や改善点をその後の本社の取り組みに還元することを視野に入れました。

 旧沖縄支店は本社の事業部門に従属するサテライト組織のような位置づけで、 本社事業に付随する各種業務の運用オペレーションを受動的にこなすことが長らく仕事の中心でした。 そのような環境下、組織運営上の様々な課題を抱えていましたが、 その最たるものが 「人材の定着」 でした。 給与等の待遇面、 待遇以外の要素も含めた仕事のやりがい面が従業員満足度向上の阻害要因になっており、その結果として社員の定着率が上がらない事態に陥っていました。
 これらの事態を抜本的に解消するために、 社内カンパニー化に先立ち、まずは給与・評価制度の改訂を通じた ES 改善施策を推進しました。

次に、 社内カンパニー化(独立採算的な組織運営形態の導入)を契機に、

 ①本社経営層から seasorize マネジメント層への大幅な権限委譲
 ②業績に応じた利益分配の仕組み(業績連動賞与) の導入

を行い、 自律的な組織運営の下地づくりを推進しました。
 そして、 将来にわたる持続的な成長を実現するための組織作り、ヒトづくり、 それらを通じた働きがいづくりに本格的に取り組むステージを迎えた今年度において、 360 度フィードバック等の手法を活用した人材登用・再配置、管理職の育成の取り組みに着手しました。


菅野:seasorize 様では、 人材登用 ・ 再配置の参考にするということと、 管理職の育成という 2 つのねらいがあったということですが、 まず人材登用 ・ 再配置にあたり、 360 度フィードバックを具体的にどのように活用したのか教えていただけますか?


鑓分:対象となる個々の管理職の職務能力や働きぶりは、 半期ごとの人事考課や日頃見えている部分から、 われわれ幹部としての人材再配置の “たたき台”(=仮説)を作っていました。 直属上司による人事考課や幹部側からの目線を中心に作られた仮説に対し、 想定外の盲点が無いのか客観的に検証する必要があることをあらかじめ認識していたため、 管理職向けの適性検査や 360 度フィードバック、 面談等の結果を総合的に俯瞰して、 最終的な人材の登用・配置を決定しました。幸いなことに、 われわれ幹部の意図の修正を迫られるようなことはありませんでした。
 また、 360 度フィードバック等の結果の確認を通じて、 個々の対象者の良い部分や更なる飛躍のための改善点が見えてきたため、人事発令に先立つ内示の際、有益な対話を行うことにとても役立ちました。


菅野:360 度フィードバックの結果によって決めるというより、 人材登用・再配置の構想がまずあって、それを確認するような形で適性検査や 360 度フィードバックの結果を参考にされたということですね。


鑓分:そうです。 今回の人材登用 ・ 再配置の取り組みの中で、 「沖縄プロパー社員によるマネジメント体制の構築」 「人材登用 ・ 再配置による組織活性化」 という大きな課題がありました。 カンパニー化の真の意図を体現するために、 本社サイドから送り込まれた責任者のリーダーシップとマネジメントに依存する体質・体制を絶ち、現地プロパー社員を頂点として自律的に組織を運営する体制に移行してゆく必要がありました。
 また、 人事給与面での制度拡充が行われた一方で、 昇降格人事や適材適所の配置転換といった実際の制度運用が積極的に行われる状態には至っていませんでした。
このような状態が長く続くことにより、 ポテンシャルの高い社員の意欲低下や離職、 ひいては組織全体の不活性をもたらすリスクを抱えていたわけです。
 そんな状態を打破すべく、 次代を担う新体制の青写真を描き、 360 度フィードバックの結果も参考にしながら、 新たな体制を編成しました。 沖縄プロパー社員初の 「カンパニー長」 の誕生、 全5グループ中3グループでの新任マネージャーの抜擢など、志しがあり実績が伴えば、 重要なポジションに登用されることを既成事実化することができました。


菅野:従業員満足のボトルネック解消という面からも、 人材登用 ・ 再配置が必要だったのですね。


鑓分:はい、 今回はそういう側面が多分にありましたが、 今後は適材適所の人材活用による組織力と成果の最大化を主眼にした人事政策を精力的に行ってゆきたいと思います。

 

想定以上の人材育成効果も実感

 

菅野:360 度フィードバックは、 本来、 「気づき」 を出発点にした人材育成を主眼とするツールです。育成面に関しては、 どのような感想をお持ちでしょうか?


鑓分:今回、 フォスターリンクさんには、 調査の実施後にフィードバック研修もお願いしましたが、フィードバック研修はやっていただいてとても良かったと思っています。 他者からの指摘の重みに戸惑いを隠せないメンバーもいれば、 普段の職場ではなかなか見せないキラキラ輝いた表情を見せながら自己変革のスイッチが一気に入ったように見えるメンバーもいるなど、 受け止め方は様々だったように思います。
 ただ、 概して言えることは、 自分のフィードバック結果と真摯向き合い、 自身をよりよく変えていくためのきっかけにしてゆこうとする姿勢は一様に見受けられました。 休日を 1 日つぶしてもらって実施しましたが、 日常業務の忙しさから開放された時間の中で、 一旦立ち止まり、 自分たちが成長する機会やヒントを得られたことは有意義だと思ってくれたのでしょうね。 そういう機会に飢えていたのかもしれません。

 

菅野:そうですね。 私も研修を担当させていただいて、 皆さん、とても前向きにフィードバックを受け止めようとする柔軟さがあって、
とてもやりやすかったですし楽しかったです。
 こういう柔軟性は、 360 度フィードバックを成長の糧にする上で大切だと思っています。 人にどうこう言われたくないと、 他者からの
フィードバックを受け止められなくなったら、恐らくそこで成長はストップしてしまうのだと思います。

 

鑓分:「360 度フィードバックは持論を問い直すツールでもある」 と菅野さんがフィードバック研修でおっしゃっていましたよね。 「これまでの自分」 あるいは 「自分が当たり前だと思ってきたこと」 が、 他者の視点から見てどうなのか、 そこに気づくこと、 そしてこれまで自分が培ってきた 「持論」 を点検し自分を変容させていくプロセスの出発点になるのが、 360 度フィードバックなのだと思います。 終えてみて、私自身もそのことを実感しましたし、 彼らもそういった点を理解したのだと思います。

 

菅野:フィードバック研修は、 他者からの評価結果を自分なりにどう受け止め、 より良いマネジメントのためにどうすればよいかを考える良い機会になると考えています。 一人で悶々とするより、 対象者が集まり、ある程度自己開示をしたり、 その場でフィードバックしあうという意味でも、 フィードバック研修は組織開発の出発点にもなるのかなと思っています。

 

鑓分:「フィードバック研修」 後のアンケートも、 ほとんどの人が 「360 度フィードバックを継続的に実施してほしい」 と書いていましたよね。 ここまでのポジティブな反応があるとは正直思っていませんでした。「フィードバックを手がかりに、 もっと自分を進化させていこう」、 「より良いマネジメントのために、 フィードバック情報を活用しよう」 という意欲が感じられました。


菅野:研修後のアンケートというのはとかくその場の勢いでポジティブなものになりやすいものですが、 それを差し引いても嬉しいですね。 そうはいっても、 その後の変化が重要なわけですが、皆さま、その後の働きぶりに変化はありますか?

 

鑓分:360 度フィードバックを実施して、 まだ 2 カ月ですから、 もちろん何かすぐに変わったということはありません。 実際の変化はこれからでしょう。 現在は、 各人が作った 「行動計画」 に対して、 フォスターリンクさんにお願いした添削をフィードバックし、添削コメントを参考に自らの 「行動計画」 を完成させて、下期の目標管理の中に取り込んで回していこうとしているところです。 「完成させた行動計画を、 上司との面談に持って行きなさい。 それで評価されるわけではないけれど、 行動計画は “自分との約束事”であり、 上司の前で立てた行動計画にコミットしてください」 と指導しています。

 

自社の期待するマネジャー像を評価項目として練り上げた

 

菅野:360 度フィードバックを実施されて、 いろいろと効果を実感していただいたということですが、 実施に当たって、 特に留意されたことはありますか?


鑓分:360 度フィードバックの評価項目については、 我々の組織のニーズに沿って練り上げました。フォスターリンクさんから標準版の管理職向け評価項目をいただきましたが、 より弊社の期待する管理職像に沿ったものになるよう、 評価項目を相当カスタマイズしました。 弊社が大事にする価値観を追加したり、 評価基準の言葉遣いもわが社の社員が日常的に使う言葉で、 理解しやすいものにしました。
言葉の使い方一つで理解がまったく違うものになる可能性があったので、 できるだけ大多数の人が同じ意味でとらえてくれるように、 言葉を選びながら作り上げていきました。


菅野:そうですね。 あの時は、 私も評価項目を検討する際若干のアドバイスをさせていただきましたが、貴社の中では相当エネルギーがかかったところではないかと思いました。 カスタマイズして追加した項目の点数が総じて低めだったように記憶しています。 やはり、 貴社の課題意識があったところなのだと感じました。 そこを浮き彫りにして強化しようとしたという意図もあったということですね。

 

鑓分:そうです。 管理職の強み ・ 弱みをバランスよく浮き彫りにして、 モチベーションを保ちつつも適切に課題認識させたいという思いがありました。 現場トップのカンパニー長にも全体の評価項目をレビューしてもらい、 後で評価項目を付け加えることもしました。
それと、 やはり組織のトップが旗振りをしてこの 360 度フィードバックを実施するということが大事だと思います。 360 度フィードバックを実施する前に、カンパニー長自ら 「seasorize カンパニーのポリシーとして、より人材育成に注力していく。 その 1 つの取り組みが 360 度フィードバックなのだ」ということを、カンパニーの社員全員に対して宣言してもらいました。


菅野:やはり、 組織のトップが 360 度フィードバックの意義や目的を直に社員に訴えかけるということは、大事なポイントですね。

 

人材育成のPDCAを確立し、自分の意思で主体的に考えて行動する自律的な人材 を育てたい

 

菅野:今後の課題については、 いかがでしょうか?


鑓分:360 度フィードバック実施直後の 2017 年 10 月頭時点で、 新カンパニー長の登用、 新任マネージャー数名の抜擢、 既存マネージャーの配置転換など、 組織再編を行いました。 まずはこの新組織がきちんと機能するようにすることが直近の大きな課題です。 新組織を支え、 様々な施策を精力的に進めてゆくために、 従来は東京本社サイドから役員と言う立場で間接的にサポートしていた私自身が沖縄に赴任し、 副カンパニー長という立場でより直接的に責任を負ってミッションを遂行することとしました。
 従業員満足を物心両面から高めるために、 まずは給与 ・ 賞与制度の拡充などの 「物面」 からの施策を先行して進めてきておりましたが、 今後は、 『仕事の真の報酬は 「成長」 である』 という考えのもと、 社員の育成に一層注力してゆくことを通じて 「心面」 での充足に力を注いでゆきます。

 単に、 知識・技能の研修機会 ・ 手段を拡充することにとどまらず、中長期 の戦略策定 ワ ー ク に中間管理職層 も巻き込んだり、
seasorize カンパニーの理念・行動規範に相当する 「CREDO」の啓蒙・実践活動を通じて、主体的な成長意欲と自律的な行動を引き出す組織風土形成も進めてゆくなど、会社も社員個人も意識と行動を変革してゆくことに全方位で取り組んでいきます。

 このような取り組みを進めてゆく中、個人・チームの持続的な成長のための PDCA サイクルを回す中核ツールとして、360 度フィードバックは今後も積極活用してゆくつもりです。 今回は手始め に管理職のみ を対象にしましたが、今後は非管理職層への適用も検討するなど 有益な気づきを得てもらう手段として積極活用したいと考えています。

 

菅野:最後に、 弊社(フォスターリンク)のサービスについては、 いかがでしたでしょうか? 今回は、360 度フィードバックのシステム利用から、 フィードバック研修、 行動計画の添削、 管理職全体の課題を把握するための人材力診断など、 多様なサービスをご利用いただきましたが…。


鑓分:フォスターリンクさんには、 企画段階からフィードバック研修やその後の行動計画作成添削までワンストップで対応していただける点に魅力を感じ、 数ある候補の中から選ばせていただきました。
 360 度フィードバックの評価項目作成の際には、 教科書的な助言にとどまることなく、 当社が納得できる形に練り上がるまで、 “泥臭く” サポートいただきました。
 また、 アンケートシステムの初期設定や回答データの収集 ・集計 ・ レポート作成の諸作業においては、専任のサポート担当をアサインいただき、 当社側の作業負荷軽減やスケジュール維持に大いに役立ちました。
最大の収穫は、 フィードバック研修に参加していた管理職たちの表情がキラキラと輝きを放っていたことであり、その風景を目の当たりにした瞬間に 「払うお金の元は取れたな」 と確信しました。
 360 度フィードバックは、 社員の成長を持続的に支援して組織活性化につなげる仕組みの1つとして導入したいという意図がありましたが、 今回のフォスターリンクさんとのコラボレーションを通じて、その礎はできたと思います。


菅野:ありがとうございます。 今後さらに 360 度フィードバックを起点に対話のある職場風土を醸成していけるようなお手伝いができれば幸いです。 本日は、 お忙しい中、 貴重なお話をありがとうございました。

 

<企業紹介>

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◎社名/株式会社 mediba
◎事業内容/KDDI グループの一つとして、モバイルメディアの企画・開発・運営、および広告の企画・制作・運用
◎従業員数/515名(2023年4月現在)
◎URL/https://www.mediba.jp